『その電話が鳴るとき』ユ・ヨンソクがラブラブモード突入 『涙の女王』を彷彿する展開も
拉致犯(パク・ジェユン)の正体が“本物のサオン”なのか
ヒジュの元に、サオンの秘密を匂わせるメールと動画が届き、不安になったヒジュは精神科医のサンウ(ホ・ナムジュン)に連絡して共に事件のあった別荘を訪ねる。しかし、そこに先に来ていたサオンは、サンウの車に乗り去っていくヒジュを見て、猛スピードで追いかけクラクションを鳴らしまくる。怒り心頭のサオンがサンウの車を追う姿は、『涙の女王』でキム・スヒョンがやはり妻を奪い返すために猛追したシーンを思い出させる。サンウに詰め寄るサオンは、字幕では一貫して「あなた」と呼びかけているが、韓国語では途中から「お前」と言っているのがまたカッコいい。 サンウを訪ねたヒジュと、そのことに動揺するサオンの場面では、ふたりの心情がライトの色で演出されているのが素晴らしかった。ヒジュの放った「怖かったからよ」の言葉を、サオンは自分を恐れたと受け取り、衝撃を受けた様子が背後に灯る真っ赤な2つのライトで表現される。その後、ヒジュの話を聞いていくうちに冷静さを取り戻したサオンの心境を青のライトが、さらにヒジュ側には、ハートが開いていることを表すピンクとグリーンのライトが点灯していく。揺れ動く心をゆらゆらと揺れる灯りで表す演出が、視覚から心に訴えかける。 本作は、ヒジュ&サオン夫婦のロマンスと、「ペク・サオン」という人物にまつわるミステリーが、絶妙なバランスで展開していく。回想で明かされる少年時代のサオン(イ・ジェジュン)は、母ギュジン(チュ・サンミ)から「私の息子なら食べない」「私の息子なら着ない」と「ペク・サオン」になるように強制されていく。サオンとして物語の冒頭からずっと見てきた彼が、本当の名前とアイデンティティを失っていく中で、ヒジュの存在が救いであったことがわかり不憫でならない。サオンを脅している拉致犯(パク・ジェユン)が、本当のサオンなのだろうか。 ヒジュの継父イルギョン(チェ・グァンイル)が「お宅のアキレス腱は始末したんですよね、父君が」「後始末が完璧ではなかったのでは?」とサオンの父ウィヨン(ユ・ソンジュ)に言った言葉が指す“アキレス腱”は、サイコパスの子供のことだろう。サンウが別荘で見たこの子供は、仮面を被っている姿で登場しており顔はまだわからない。サオンの母であり犯罪心理学者でもあるギュジンが、本当の我が子であるサオンに向けてメッセージを送っていたことから、これから彼に焦点が当たっていくのだろう。 サオン、サンウ、拉致犯、そして巨大な権力者たちが隠している秘密が明らかになったとき、おぞましい事件とともに悲しい真実が明らかになりそうだ。どんな秘密が明かされようとも、サオン&ヒジュ夫婦が幸せであってほしいと願っている。
にこ