「突然母が歩けなくなり」新田恵利 二世帯同居の母の介護に「当初はきょうだいに不満も」トラブルにならずに済んだワケ
兄は身体が大きいので、車いすを押したり、母の身体を支えたりと、力が必要な場面にうってつけ。母も安心して身を任せていました。役割分担が出来あがったことで、ひとりで抱えるストレスがなくなり、精神的な負担が減ったんです。姉はもともと家が離れているし、持病もあって介護には参加できないため、兄と「ふたりで協力していこう」と話し合いました。 うちの兄は、とても心根が優しく穏やかな性格。人の悪口なんて一度も聞いたことがないくらいです。昔から彼氏ができると必ず家族に紹介してきたのですが、兄はどんな相手でも「いい人だね」と言ってくれ、絶対にけなしたりしませんでした。もちろん夫のことも大好きで、彼が病気になったときには、ものすごく心配してくれました。
■兄と母がハイタッチ「ちょっと引きましたけど(笑)」 ── 素敵なお兄さまですね。 新田さん:寡黙な人なので、母との会話はそんなに多くないのですが、うちの母は、人の3倍くらいしゃべるので、むしろちょうどよかったみたいです。私の場合、ずっとしゃべり倒す母に対し、「そんなこと言ってもしょうがないじゃない」とか「その話、前にも聞いたよ」「おもしろくない」など、真正面から受け止めてしまい、ケンカになることも。でも兄は、母の話に、“うんうん”と適当にあいづちを打ちつつ、右から左へと聞き流しているので(笑)。母からすれば、さえぎられることなく、しゃべりたいだけしゃべることができて大満足だったみたいです。
── 寡黙な男性とおしゃべりな母親、たしかに相性がいいかもしれません(笑)。 新田さん:母がいないときに、「母ちゃん、よくしゃべってるよ」と笑ってましたけれど、介護の不満は聞いたことがないです。ただ、兄は自分の気持ちをあまり表現しないタイプなので、実際にストレスを抱えていたかどうか、正直わかりません。 兄にも息抜きが必要だとは思っていたので、「今日は遅くなるよ」と言われたら、いっさい詮索はせず、「わかった。じゃあ、私がママをみるね」とバトンタッチ。これが夫なら「どこ行くの?」「何時に帰る?」と質問攻めするところですけれど(笑)。兄とは程よい距離感を保つようにしていたのが、よかったのかもしれません。