【独自】熊本市電の運賃、20円値上げへ 2025年6月から均一200円に 市交通局方針 乗務員の処遇改善、物価高騰に対応へ
熊本市交通局が来年6月、市電の均一運賃を20円値上げして200円とする方針を固めたことが10月30日、分かった。運賃改定は170円から現行の180円に引き上げた昨年6月以来。小学生以下の小児運賃も90円から100円に引き上げる方針だ。 運賃の値上げは、乗務員の処遇改善や物価高騰に対応して安定した経営基盤の確立を図る目的。今後、国に運賃改定に関する認可を申請する。10月31日の市議会特別委員会で説明。議会での議論を経て、来年の定例議会に運賃改定の条例改正案を提出する見通し。 近年、市交通局は厳しい経営環境に直面している。運賃収入は新型コロナウイルス禍からの回復傾向にあるが、人件費の上昇や物価高騰の影響で今後は収支の悪化が予測される。来年度には新たな経営形態「上下分離方式」に移る予定で、市の一般会計からの補助金もなくなる。 このため市交通局は、運賃が180円のままだと今後30年間の累積で2億7800万円の赤字が発生する一方、200円に値上げすれば乗客は減るが、累積で37億3200万円の黒字を確保できるとの試算を示している。利用者らへのアンケートも踏まえ、運賃値上げが必要と判断した。
市電の運賃は2007年に乗車区間に関係なく同額とする均一方式を導入。150円でスタートし、16年に170円に、23年に180円に引き上げた。(臼杵大介)