2030年に脱エンジン? 英政権交代で自動車業界は変わるか 労働党の公約は?
労働党政権下でエンジン車禁止が早まる?
7月4日に行われた英国総選挙では労働党が勝利し、キア・スターマー党首が新首相となった。自動車業界は新政権に対し、自動車関連の問題解決を最優先課題とするよう求めた。 【写真】英国の自動車産業を「象徴」する1台【ミニ・クーパーの最新モデルを写真でじっくり見る】 (29枚) 労働党は選挙キャンペーンにおいて、2030年のICE(エンジン車)新車販売禁止、高騰する保険料への取り組み、中古EVのバッテリー健全性基準の導入、新しいバッテリー工場の建設支援など、いくつかの自動車関連の公約を掲げた(下記参照)。 スターマー氏はまた、EV充電器を増設し、国内の老朽化した道路を修復することも約束した。「英国を再建するということは、交通インフラを近代化するということだ」とマニフェストには書かれている。 労働党の勝利は、イングランドに主要工場を持つ2大メーカー、BMWグループとステランティスから喝采を浴びた。 ステランティスUKの責任者、マリア・グラツィア・ダヴィーノ氏は選挙結果を受け、「キア・スターマー党首の勝利に祝意を表します。我々は今、英国の競争力、製造、電動化、そしてネット・ゼロという究極の目標を達成するための産業戦略について、新政権と協力することを楽しみにしています」と述べた。 BMWは声明で、 「我々は、自動車業界が直面する重要な問題について新政権と協力していくことを楽しみにしている」と述べた。 英国自動車製造販売者協会(SMMT、日本の自工会に相当)のマイク・ホーズ会長も、「新政権は産業戦略にコミットしており、すでに自動車セクター計画を発表している」として労働党の勝利に期待を寄せている。 ホーズ氏は、これにより「製造業の競争力を高め、貿易関係を強化し、消費者を支援することができる」とし、「自動車産業はネット・ゼロを達成するための基盤であり、適切な条件が整えば、経済が必要とする成長をもたらすでしょう」と述べた。 自動車業界のロビー団体で、人材獲得問題を大々的に取り上げてきた自動車産業協会も、新政権を歓迎する声明を発表した。 「労働党はマニフェストで、英国のインフラにおける技能の重要性を明確に示している。また、自動車産業がネット・ゼロ目標の達成に果たす貢献を認識し、自動車政策に特化した唯一の政党でもある」 「新たなギガファクトリーに15億ポンドを充当する計画や、内燃機関を搭載した新車の段階的廃止時期を2030年に戻すことを明言している。自動車産業における技能の向上だけでなく、職業教育や見習い制度をめぐる現在の課題に対処するためには、明らかに一刻の猶予もない」