一部の移籍ルールは「法律違反」、チェルシーなどでプレーしたL・ディアラがFIFAを訴え…欧州司法裁判所が判決
かつてチェルシーやアーセナルなどでプレーした元フランス代表MFラサナ・ディアラ氏が国際サッカー連盟(FIFA)を訴えていた移籍問題だが、欧州司法裁判所がEU法に違反していると判決を下した。イギリス『BBC』が伝えた。 2019年にパリ・サンジェルマン(PSG)で現役を引退したL・ディアラ氏。フランス代表としても34試合に出場し、ボランチを中心にプレーしていた。 そのディアラ氏は、2014年にロコモティフ・モスクワとの契約が終了した際に、FIFAの規則の一部に対し異議を唱えることに。FIFAの規則の一部が、移籍の自由を制限し、競争法に違反していると主張。損害賠償を求めてFIFAを相手に訴訟を起こしていた。 問題は、2014年にロコモティフ・モスクワに契約を解除されたことが発端。ロコモティフはレオニード・クチュク監督との論争の後、L・ディアラが練習に出席せず、給与の引き下げにも応じなかったとして、契約期間の3年前に解雇していた。 2016年、スポーツ仲裁裁判所の支持を受けたFIFAの裁定により、L・ディアラは契約違反の責任があるとされ、ロコモティフに対して1000万ユーロ()の支払いが命じられた他、15カ月間にわたってプロサッカー選手としての活動が禁止されていた。 その後、L・ディアラはベルギーのシャルルロワに加入。契約を解除されているため、ロコモティフに対していかなる補償金も支払う義務がないという保証を求めていた。しかし、FIFAは国際移籍証明書(ITC)の発行を拒否。移籍が破談となっていた。 L・ディアラ側の弁護士は、この規則に対して異議。選手の以前の契約が正当な理由なく解除された場合、選手と契約を希望するクラブは、以前のクラブに対して共同で補償責任を負い、スポーツ上の制裁を受けるリスクがあるという。また、争いがある場合、選手の元所属クラブの国内協会がITCを保留することができるという規則もあり、移籍の妨げになるを異議を唱えていた。 欧州司法裁判所は、これらの規則に対し「新しいクラブで働くことで活動を展開したいと望むプロサッカー選手の自由な移動を妨げている」とし、FIFAがITC制度を利用して選手の移籍や希望する場所への就労を阻止することはできないとの判断を下した。 FIFAの広報担当者は「移籍制度の主要原則の合法性が、本日の判決で再確認されたことにFIFAは満足している」とコメント。「この判決は、選手の地位と移籍に関するFIFA規則の2条のうち、2つの段落に疑問を投げかけるだけであり、今後は国内裁判所が検討するように求められている。FIFAは他の関係者と連携し、この決定を分析した上で、さらにコメントする予定だ」とした。 L・ディアラ氏は、ル・アーヴルでキャリアをスタート。2005年7月にチェルシーへ完全移籍。2007年8月にアーセナルへと移籍すると、その後はポーツマス、レアル・マドリー、アンジ・マハチカラ、ロコモティフ・モスクワ、マルセイユ、アル・ジャジーラ、PSGでプレーした。 チェルシーではプレミアリーグとFAカップ、EFLカップのタイトルを獲得。レアル・マドリーではラ・リーガ、PSGでは2度のリーグ優勝などを経験していた。
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