自律型管理でユーザーの選択に自信を付与--タニウム、製品戦略を解説
最後に、CTOのMatt Quinn(マット・クイン)氏が同社のXEMプラットフォームのコア部分の今後の開発ロードマップについて解説した。同氏は、Taniumの技術開発が既存顧客との密接な連携に基づいて方針決定されており、ユーザーのニーズに基づいた開発が行われているとした。その上で、開発方針に大きな影響を与える3要素として「エンドポイントの多様化」「エコシステムとの統合」「自律型管理」の3つのキーワードを示した。 エンドポイントの多様化は、より広範なデバイスをTaniumプラットフォームでサポートすることだと言い換えられる。Quinn氏は、「Taniumのプラットフォームは拡張を続けており、モバイルデバイスやOT機器、IoTデバイスなどからメインフレーム/AIワークロードに至るまで、あらゆるエンドポイントをカバーする」と語った。 次にエコシステムとの統合では、ユーザーの既存のIT環境との統合を図る。同社のプラットフォームではIT環境全体にわたり、多数のエンドポイントからリアルタイムにさまざまな情報を収集して可視化する点を強みとしている。Quinn氏は「このデータを閉じ込めてしまうのではなく、ほかのツールやパートナーと共有することでユーザーにより良い環境を提供する」と語り、具体的な取り組みとして「Microsoft Copilot for Security」との連携について説明した。 Microsoft Copilot for Securityはセキュリティ担当者などのユーザーがイベントを理解することを支援するが、これに対してTaniumは収集したリアルタイムデータに基づく「コンテキスト」を提供することで「今何が起きているか」を理解しやすくし、セキュリティ担当者がより迅速に意思決定を下すことを可能にするという。 最後の自律型管理は「次世代の革新」と位置付けられるもので、IT環境に対してより高度かつインテリジェントな管理を実現していく。Quinn氏はその目指すところを「複雑化したIT環境においても、ユーザーが適切なアクションを適切なタイミングで実行できるという自信を持てるようにする」ことだと語った。 同氏は、Taniumプラットフォームが膨大な情報をリアルタイムに収集していることを踏まえて「例えばソフトウェア製品にセキュリティパッチを適用するような場合、そのオペレーションの失敗率はどれぐらいか、パッチを適用することでどのような成果が得られたのかといった情報を収集できる。同じ作業を実行する前に他社で実行した際のデータを参照できれば、どのような結果になるかをあらかじめ把握した上で自信を持って実行できるだろう」との例を挙げて説明した。 さらに、ユーザーからよく寄せられる「次に何をすれば良いのか」「IT環境をさらに改善するためにはどうすれば良いのか」といった疑問に対しても、自律型管理でリアルタイムに推奨提案することなどが可能になるという。しかも、その提案が一般的な推奨にとどまらず、ユーザーが運用している実環境の状況を踏まえて最適化されたものであればより良いだろう。そうした機能を実現することが自律型管理の狙いとなる。 この自律型管理のコンセプトを具体化する取り組みが「Tanium Automate」である(図2)。2024年4月の同社の年次イベントで発表されたTanium Automateは、現在は一般向け提供(GA)の前の最終段階である特定顧客向けのプライベートプレビューを実施している状況で、GAは「間もなく」とのことだ。Quinn氏はTanium Automateの機能として「ユーザーは自動化のためのプレイブックを作成できる」と紹介し、「日本のパートナーやソリューションプロバイダーとも協業し、日本のユーザーに特有のニーズに応えるための独自の自動化機能などを作成して組み込むこともできる」とした。 最後に同氏は「ユーザーやパートナーの声を聞き、協業することでより良いソリューションを構築したい」とまとめた。