京阪百貨店30周年で岩合光昭の「ねこ」展大盛況
猫を被写体に選んだ動機は?
サイン会のあと、岩合さんに話をお伺いした。 ──猫を被写体に選んだ動機は? 岩合:「高校生の時、友達の家に遊びに行ったら、その家には20数匹の猫がいて。その猫の可愛さに目がアツくなって。それが猫を撮る原点です」 ──写真を撮り始めたのはいつからですか。 岩合:「写真は大学生の頃、ある時、近所に段ボール箱が置かれていて、見ると、子猫が2匹入っていて。それで保護して持って帰り、その子たちの写真を撮り始めたのがきっかけです。20歳ぐらいから40年以上も撮っている。長くやっても、猫がわかることはない。撮影の時、エサは与えないようにしてます。エサをやると、エサをもらえると思ってしまいますからね。ただ、撮影が終わったあと、『ギャラです』と言って与えることはあります(笑い)」 ──47都道府県すべて回られたそうですが、大阪の思い出ってありますか。 岩合:「人が違えば、猫も違う。都市ですと、人が多いですから、人を見る目が鋭くなっている。農村に行くと、猫も穏やかです。大阪の思い出と言うと、枚方市の公園に猫を撮りに行った時、カラスがいてて、いきなり、アホアホって鳴かれましてね。カラスまで大阪っぽいなって。それから、ベンチで弁当を食べてる人のそばで、おこぼれを待ってる猫がいたり、珍しい鼻ちょうちんの猫がいたり、野良猫に対しても、みなさん、呼び方が違っていたり。それとおもしろいのは、子どもたちが『おい、元気か?』とか、猫に話しかけているんですね。大阪らしいと思いましたね」 見ているだけで幸せになれる、この「ねこ」展は1月5日まで。詳しくは同百貨店公式ホームページで。 (文責/フリーライター・北代靖典)