多選や県政のあり方巡り 現職・新人が舌戦 2024知事選
とちぎテレビ
任期満了に伴い今月17日に投開票が行われる知事選挙は告示からまもなく1週間が経過します。 県政史上初の6期目を目指す現職と県民本位の政治を求める新人の一騎打ちの戦いになっていて、『多選』や『現在の県政のあり方』、LRTの西側延伸に対する県の関与の仕方などを巡り、論戦が展開されています。 立候補したのは、届け出順に、自民党と公明党の推薦を受ける現職の福田富一候補(71)と、共産党が推薦し社民党が支持する新人の針川佐久眞候補(74)の2人です。 【福田候補】 現職の福田候補は県職員を経て「政治をたださないと世の中が良くならない」と県庁を辞め、宇都宮市議、県議を経て1999年、宇都宮市長に初当選。 20年前の2004年の知事選挙で当時の現職を破って知事となり以来5期を務めます。 県庁を辞める時に知事室を指差して「あそこに戻ってくる」と宣言したという話が語り草になっていますが今回も組織は盤石で50人中39人の県議会議員や県興農政治連盟や県医師会などの業界団体が支持に回ります。 福田候補は今回、当選すれば『6期目』となります。これは全国の現役の知事では最も多い期数。 自身としても10年権力の座にいると腐るという言葉、「権腐十年」を掲げてきただけに「多選」批判は否定せず、選挙で審判を仰ぐとしています。 また福田候補にとって選挙は市議選から数えて通算13回目となる今回の知事選。 前回4年前まで行っていた初日に衆院の5つの選挙区のエリア全てで出陣式を開く形をやめ、1日、1選挙区ずつ集会や街頭演説を行っています。 連休最初のこの日は4区。真岡市で行われた集会では八溝地域を南北に走る道路の構想について熱弁をふるいました。 一方、福田候補は選挙戦を通じて今後目指す事業や計画について県民・有権者に訴えていくとしていて、県が県体育館の跡地に美術館と図書館、文書館を一体的に整備する「文化と知」の創造拠点構想では有識者や自治体の意見も聞き進めてきたと説明しました。 前人未踏の6期目を目指す福田候補。「未来への投資」をキャッチフレーズに人口減少が進む中で人づくりや産業の発展、農林業の担い手確保と合わせた大型化・効率化など今、栃木のために行うべき課題に取り組むと意気込みます。 【針川候補】 新人の針川候補は「平和・民主・革新の日本を目指す栃木の会」、通称・「栃木革新懇」の事務局長を務めていて今回が初めての選挙戦となります。 長崎県出身で祖父は被爆者健康手帳を持っていましたが多くは語らず。 自身は学生運動が真っ盛りだった1970年代に宇都宮大学に進学し、生活協同組合の活動などを通して人々の暮らしや平和を守る取り組みに力を入れてきました。 選挙戦では共産党・社民党のほか政治団体「みんなで県民の知事をつくる会」なども支援しています。 針川候補は、福田候補が6選を目指していることについて「あらゆる権限が集中する知事を20年も同じ人が務めていると忖度が広がり、批判的な意見を遠ざける傾向が出るのは必至」だとして、「6期24年これが続いたら大変」と批判します。 第一声では共産党の塩川鉄也衆議院議員や、社民党県連の星孝典代表などもマイクを握り、「県民の願いに答える政治の実現」をと呼びかけました。 そして、連休初日のこの日、針川候補は午前9時から宇都宮市細谷町で雨の中、街頭演説を行い、自身が掲げる18歳までの医療費の無料化や最低賃金を1500円以上に引き上げることなどを子育て世代や現役世代に向けて訴えました。 一方、針川候補は現在の県政について、那須と栃木、2つの特別支援学校の寄宿舎を廃止する方針を打ち出していることなどを「県民に冷たい政治」だと批判。 LRTの西側延伸については住民投票を行うよう求めるほか、「文化と知」の創造拠点構想も見直すべきとしています。 針川候補の陣営では告示3週間前に立候補を表明したことから名前と政策の浸透に力を入れます。 「投資と開発優先の県政を再点検し、憲法と地方自治の精神を生かした県民本位の政治の実現を今こそ目指そう」と強く呼びかけています。
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