障害者の進学に給付型奨学金 静岡市協会、県内在住者対象に11月から募集開始
静岡市障害者協会は11月1日から、静岡県内の障害者を対象にした奨学金の募集を始める。返済不要で年間60万円を給付する。給付型で障害の種別を問わない奨学金は全国でも珍しいという。関係者は「障害のある人の進学という夢をかなえる一助になれば」と応募を呼びかけている。 障害者手帳や主治医の診断書を有する県内在住者のうち、来年4月に国内の大学や短大、専門学校などに入学見込みか在学している人が対象。募集人数は5人以内。所得制限はなく、別の奨学金との併用も可。 文部科学省の調査では特別支援学校高等部の進学率は2・0%(2018年3月卒業者)。奨学金の企画運営委員会によると、教員や保護者の中には特別支援学校からは大学や専門学校に進学できないとの誤解があり、生徒の選択肢を狭めている現状があるという。 このほど県庁で記者会見した企画運営委員長の増田樹郎静岡福祉大学長は「障害のある人が進学したくても当事者には大学のパンフレットすら届かない。障害者の進路を保証するため一石を投じたい」と話した。 車椅子バスケットボールで活躍した男性(故人)の親族から、「障害者のための奨学金に使ってほしい」と遺産が寄付されたことから、昨年奨学金制度を創設した。バスケの試合開始時に行うジャンプボールにちなみ「しずおかTIP―OFF(ティップ・オフ)奨学金」と名付けている。 昨年は21人から応募があり、審査の結果、身体障害者4人、精神障害者1人に給付を決定した。 問い合わせは同協会<電054(254)6880>へ。
静岡新聞社