大震災から13年 都内タワマンに家賃を払わず住み続け、福島から訴えられている自主避難民 県の担当者に現状を聞いた
2011年3月11日に発生した東日本大震災から13年になる。その間、16年には熊本地震、今年元日には能登半島地震もあったが、東日本大震災による避難者は今なお全国に約2万9000人もいる(2024年2月1日現在・復興庁調べ)。まさに身につまされるばかりだ。その一方で、都内の高層住宅地に家賃を払うことなく住み続ける自主避難者がいる。 【写真を見る】一部の「原発避難民」が期限後も破格の家賃で住み続けていた「高級タワマン」 ***
東日本大震災が発生する数カ月前に竣工したのが、東京都江東区の湾岸エリアにある国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」だ。地上36階建ての高層マンションは、入居開始前に発生した震災のため福島県が借り上げ、避難者を受け入れた。 避難者の退去期限は6年後。17年3月までは無償提供されたが、特例として家賃を支払うことを条件に2年間の延長が認められた。湾岸エリアといえば家賃が数十万円の高級マンションばかりだが、そこは国家公務員宿舎であるから1LDKで1万7000円、3LDKでも5万9000円と格安だ。それでも頑なに払おうとしない避難者がいるのである。 デイリー新潮は複数回にわたり、こうした避難者について報じてきた。23年3月11日配信の「都内のタワマンに家賃を払わず住み続け、福島県から訴えられている原発避難民 事態は昨年より悪化していた」では、4世帯が福島県から訴えられ(うち2世帯とは和解)、昨年1月13日に住民たちが敗訴したことを報じた。判決前に退去した1世帯には約131万9000円の賠償、残る1世帯には住居の明け渡しと約147万5000円の損害、さらに、19年4月から退去までの毎月約6万5000円の支払いが命じられた。 あれからどうなったのだろう。福島県生活拠点課に聞いた。
控訴棄却も…
「一審で敗訴した2世帯は控訴しましたが、今年1月16日に仙台高裁が棄却の決定を下しました」 避難者側の代理人は国際人刑法に反するなどと主張したというが、高裁は避難者に退去や損害賠償を命じた一審の福島地裁を支持した。新聞はこう報じている。 《高裁は控訴審判判決で、「無償使用の継続を許さない限り、生存権が保障されないかのような避難者側の主張は採用できない」と認定。「県は住宅の供与に代わる支援措置を設けている」とも指摘し、一審の判断を支持した。》(朝日新聞:24年1月16日) ようやく一件落着ということか。 「いえ、この2世帯は1月下旬に上告したので、最高裁に持ち込まれることに……」 未だ解決には至っていなかったのだ。最高裁でも棄却ということになれば、東雲住宅の所有者である国が強制執行に乗り出すことも考えられる。実は、昨年末には福島地裁で別の避難者に判決が下されたことが報じられている。 《東京電力福島第1原発事故の自主避難者を対象とする国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」(東京都)に貸し付け契約終了後も住み続けているとして、県が入居者に退去などを求めた訴訟の判決が27日、福島地裁であった。岩竹遼裁判官は入居者に住宅の明け渡しを命じた。損害金約236万円と、今年10月から建物の明け渡しまで月約3万9千円の支払いも命令した。》(福島民報:23年12月28日)