【G1最前線・BC編】「デットーリ&ゴスデン」復活!あるぞ、エミリーアップジョンの大駆け
【デルマー(米国)30日(日本時間31日)=松田直樹】米国で再び名手が競演だ-。BCターフに出走するG1・2勝馬エミリーアップジョン(牝5、J&T・ゴスデン)には昨秋に引退を撤回し、英国から米国に拠点を移した世界的名手、ランフランコ・デットーリ(53)が騎乗する。 デットーリ騎手×ジョン・ゴスデン厩舎(現在は息子と共同名義)といえば、欧州で大レースを勝ちまくった名コンビ。「BC最前線」を担当する松田直樹記者は陣営の感触に触れ、5歳牝馬の1年5カ月ぶりのG1勝利への期待感を高めた。 ◇ ◇ ◇ 人気者にはすぐに人だかりができる。日本でもおなじみのデットーリ騎手は話しかけられた人の手を堅く握り、肩を抱いて写真に映った。誰にも分け隔てなく笑顔を振りまく、大きな所作が絵になる男だ。 黄金タッグが米国でも見られる。デットーリ騎手はBCターフでエミリーアップジョンの手綱を握る。あの、ゴスデン厩舎の馬。ゴールデンホーンに、エネイブル…。時代を作ってきた名手と名将がコンビを組む。一時のほぼ専属扱いは解消されたが、今年のドバイターフ(ロードノース8着)参戦など、今も絆は堅い。 デットーリ騎手 去年の7月以来の騎乗で、乗れるのがうれしいよ。英オークスでは2着に負けたけど、一緒に素晴らしいレースをたくさん勝った。彼女は特別な牝馬。米国遠征をするだけの実績があって、どのレースでも一生懸命走っている。 レース騎乗は昨年の“キングジョージ”7着以来だが、23年コロネーションCなどG1・2勝は同騎手の手綱によるものだ。ゴスデン師が鞍上に再指名したのは、今年から拠点を移した米国での経験も含めてのこと。この日は調教に騎乗し、久々の乗り味を堪能した。同騎手は「彼女は落ち着いている。とてもいいこと。(昨秋に引退撤回し)今年は(米国)3冠競走にも乗れて、BCにも乗れる。想像していた以上にいろいろな場所でレースに乗れたんだ。何もかもが新しい、いいチャレンジができている」とご機嫌で語った。 牡馬相手のBCターフ参戦。キャリア最終盤の一戦で1ハロン短いBCフィリー&メアターフを選ばなかったのは理由がある。ゴスデン師は「牡馬に挑戦するのは2400メートルがベターだから。スタート後の直線が長い方がいい。より多いチャンスが与えられると思った」と話す。道悪に苦しみながら3着に入った前走ヴェルメイユ賞は1、2着がそのまま凱旋門賞でも上位独占。「彼女は速い馬場の方がいい」(ゴスデン師)。得意条件に最強鞍上を迎えるG1挑戦。久々のG1制覇も夢ではない。(つづく) ◆デットーリ騎手とブリーダーズC諸競走 94年BCマイルのバラシアで初勝利。これまで08年BCクラシックのレイヴンズパスなど、15勝を挙げている。BCターフは99年デイラミ、01年ファンタスティックライト、06年レッドロックス、10年デンジャラスミッジ、18年エネイブルの5勝。 ◆今年のエミリーアップジョン 新たに主戦となったシューマーク騎手とのコンビで6戦(すべてG1)し、始動戦のドバイシーマC(5着)から惜敗続きで6連敗。前走ヴェルメイユ賞(3着)は1着ブルーストッキング、2着アヴァンチュールが凱旋門賞でワンツーを決めている。