「日本の消費者は倹約の時代から抜け出した」…日本の価値観に合った高級ブランドが恩恵を受ける(海外)
円安と観光客の支出増加によって、日本では高級品の売上が急増した。 中国では高級品業界が低迷しており、日本市場の成長が重要となっている。 【全画像をみる】「日本の消費者は倹約の時代から抜け出した」…日本の価値観に合った高級ブランドが恩恵を受ける エルメスのようなブランドは、日本の繊細さと品質を重視する価値観に合わせて成功を収めている。 2024年の夏に、日本で高級品店で買い物をしようと思ったら、行列に並ばなければならなかっただろう。 高級品調査会社のアジリティ・リサーチ・アンド・ストラテジー(Agility Research & Strategy)のマネージング・ディレクターであるアムリタ・バンタ(Amrita Banta)によると、日本のラグジュアリーブランドでは、円安と高級な商品が安いことを狙って日本に押し寄せる観光客が起こす混乱に対応するため、予約制での入店を始めたという。 中国での需要減退で大きな打撃を受けていた高級品業界にとって、日本での売上の急増は待ち望んでいた追い風となった。 2024年第2四半期、LVMH( モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン )の日本での売上は57%増加し、他の市場を大きく上回った。グッチ(Gucci)の親会社であるケリング(Kering)も日本での売上が同期に27%増加しているが、他の市場での売上は急落している。 しかし、2024年第3四半期には、LVMHもケリングも日本での贅沢品の消費が減速していることを報告している。 日本政府の為替介入によって円が強くなったことや海外の経済不安などが重なり、日本での買い物ブームを減速させているようだ。 観光客の支出は多少減ったかもしれないが、それでも専門家は、「日本の消費者は倹約の時代から抜け出し、贅沢品にお金を使うようになっている」と指摘している。 「市場では日本に対する楽観的な見方が広がっている」と、モーニングスター(Morningstar)の高級品アナリストであるジェレナ・ソコロバ(Jelena Sokolova)はBusiness Insiderに語っている。 ブランド開発・戦略会社エキテ(Équité)のCEOであり、ペパーダイン大学(Pepperdine University)の高級品(ラグジュアリー)専門の教授でもあるダニエル・ランガー(Daniel Langer)は、Business Insiderのメール取材で、「賃金上昇と円高が相まって、日本の消費者の支出意欲を押し上げている」と述べている。 しかし、日本人はどこにでも大金をばらまくわけではない。これは一部の高級ブランドにとっては受け入れがたい苦い事実だ。