遺産相続手続き、いつまでに何をすべきか?「9つの手続き」のポイントを税理士が解説
4ヵ月以内…亡くなった人の所得税に関する準確定申告
亡くなった人が所得税の確定申告をしていた場合、亡くなった年の確定申告は、相続人が代わりに行います。これを準確定申告といいます。 準確定申告は、相続があることを知った日の翌日から4ヵ月以内に、亡くなった人の住所地の税務署で行います。通常の確定申告の期限(翌年の2月16日~3月15日)とは異なるので注意しましょう。 相続人が複数いる場合は、連名で準確定申告書を提出します。ただし、他の相続人に申告の内容を通知すれば、各相続人が別々に提出することもできます。 準確定申告の結果、納税額が生じた場合、納税の期限は申告の期限と同じ日となります。準確定申告書の提出が遅れた場合は、納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられます。
10ヵ月以内…遺産が3,600万円以上あれば、相続税申告
遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の金額を超えた場合は、相続人は相続税を納める必要があります。 申告と納税の期限は、相続があることを知った日の翌日から10ヵ月以内で、亡くなった人の住所地の税務署に届け出ます。 相続税の申告に必要な書類は次のとおりです(小規模宅地等の特例などを受ける場合は、これら以外にも必要な書類があります)。 ・相続税の確定申告書 ・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本(死亡から10日を経過した日以後に作成されたもの) ・(遺言書がある場合)遺言書の写し ・(遺産分割協議をした場合)遺産分割協議書の写しと遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書 相続税の申告書の提出が遅れた場合は、納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられます。相続税は高額になることが多く、延滞税と無申告加算税もその分高額になります。期限内に申告と納税ができるように、早めに準備しましょう。
1年以内…遺留分侵害額の請求
遺留分とは、相続人が最低限引き継ぐことができる遺産の割合のことです。亡くなった人が扶養していた相続人の生活保障や、亡くなった人の財産形成に対する相続人の貢献などを考慮して定められています。したがって、亡くなった人の配偶者、子、両親には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。 遺言のとおりに遺産分割をした結果、遺留分を下回る遺産しか受け取れなかった相続人は、不足している部分をほかの相続人に対して請求することができます。これを遺留分侵害額の請求といいます。 遺留分侵害額の請求ができる期限は、相続の発生および遺留分を下回る遺産しか受け取っていないことを知ったときから1年以内です。相続の発生から10年を経過した場合は、遺留分侵害額の請求はできません。 遺留分侵害額の請求は、裁判所などに届け出るのではなく、まずは当事者どうしで話し合うことになります。もし、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。