CO2削減の貢献量がわかるフードロス削減BOX「ZERO」
フードロス対策として、まだ食べられるのに廃棄されてしまう商品を低価格で販売する取り組みが、さまざまな団体で行われている。そのひとつがフードロス削減BOX「ZERO」だ。ユーザーは、これを利用したことによる二酸化炭素削減効果を確認できるという点がおもしろい。 2022年度の農林水産省の推計によると、日本のフードロス量は年間およそ473万トン。日本人1人あたり、毎日おにぎりを1個捨てているのと同じ計算になる。その半量は家庭でゴミとして捨てられるもので、半量は食品業界で出されるものだ。ZEROで販売されるのは、食品として問題はないが事情により店頭に並ばないものだ。 日本の食品業界には、3分の1ルールという商慣行がある。製造日から賞味期限、または消費期限の日までの期間を3等分して、最初の3分の1までに小売店に納品しなければならない。また、この期間の3分の2に達した商品は、賞味期限までまだ時間があるにもかかわらず店頭から撤去される。そうした事情から、商品としてまったく問題がないのに廃棄されるものが非常に多いという問題がある。現在は経済産業省がこれを改めるよう業界に働きかけているが、徹底されるまでにはまだ時間がかかる。 ZEROで販売されるのは、そうした商品だ。行き場を失った商品なので、安く仕入れて安く売ることができる。ただしZEROの場合は無闇な値引きはしないという。生産者の想いを大切にしたいからだ。そのかわり、利用者にはZEROで使えるポイントが与えられる。 また、フードロスは大きな二酸化炭素排出源でもある。環境省のエコマガジン「ecojin」によれば、フードロスにともなう二酸化炭素排出量は日本では年間約1000万トン。世界では年間約33億トンにのぼり、国連食糧農業機関の2013年の報告によれば、フードロスを国と考えた場合、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の二酸化炭素排出国に相当するということだ。ZEROは二酸化炭素の削減効果にも注目している。スマホアプリから注文して商品を購入する仕組みなのだが、そこで自分が利用したことによる二酸化炭素削減への貢献量が毎月のレポートで確認できるようになっている。今後は、そのデータを有効活用するサービスの開発を進めるという。 ZEROはZERO株式会社が開発し、販売代理店契約を結んだBIPROGYが全国の商業施設や公共施設などへの設置を進めている。ZEROのサイトで無料で会員登録をすれば、誰でも自由に使うことができる。
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