サルゴリラが振り返るキングオブコント王者の1年...今年の大会は「意外とドキドキ」
コント日本一を決める大会『カーネクスト presents キングオブコント2024』(TBS系)が、10月12日(土)より生放送される。 【写真を見る】前年度KOC王者のサルゴリラが見る今年の大会は? 今回のファイナリストは、cacao、コットン、シティホテル3号室、ダンビラムーチョ、ニッポンの社長、ファイヤーサンダー、や団、ラブレターズ、隣人、ロングコートダディ(※五十音順)の10組。果たして、王者に輝くのは――? 今回、そんな決勝を前に、前回初出場の勢いそのままにチャンピオンとなったサルゴリラ(赤羽健壱、児玉智洋)にインタビューを実施。長らく不遇の時代を過ごした彼らの優勝後の変化はもちろん、今大会についてもたっぷりと語ってもらった。 ――先日、今年の『キングオブコント』(以下、KOC)決勝に進出する10組が発表されました。顔ぶれを見て、どんな印象を持たれましたか? 赤羽「まず安心したのが、僕らの『最年長優勝記録は破られない』(当時赤羽44歳、児玉43歳)ということですね(笑)。できれば、(サルゴリラが保持する)歴代最高得点記録も超えてほしくないです」 児玉「すごいメンバーですよね~。『ここが行きそうだな』という組もいるんですけど、順番もあるんでどうなるか分からないですよね。(昨年の)カゲヤマみたいにトップバッターで準優勝まで行くこともありえますから」 赤羽「KOCって毎回そうですけど、優勝候補と言われたところがストレートに優勝することってあまりない難しい大会だと思うんですよ。予選を見ていないのでなんとも言えないですけど、(何度も決勝進出している)ロングコートダディ、ニッポンの社長、や団は相変わらず強いなって思います」 児玉「今年はKOCに参加していないので、楽しく見られるのかなと思ったんですけど、意外とドキドキしています。準決勝が終わったあと、気になってSNSで『ここウケたんだ』とか、すっげー調べちゃいました(笑)」 赤羽「準決勝の日にXで予選の採点をしている人がいて、そういうの見ちゃいますね。(ネタを勝手に)数値化してるって本当は許せないんですけど、でもそれしか情報がないんで(笑)」 ――準決勝から決勝までの「1か月間の時間の使い方」も重要となります。サルゴリラさんはどんな準備をされましたか? 赤羽「吉本だと決勝が決まると、劇場出番を多くいただけるんですよ。僕らで言うと、そこで根詰めるというよりは、準決勝から決勝までの期間、地方泊まりの仕事が増えてリフレッシュも兼ねられた、というのは良かったかもしれないです」 児玉「ただ最後まで(ネタの台詞などは)細かく変えました。本当に全然ウケないこともありましたけど、わずかな反応も加味して、台詞一行も気にしていましたね。そのなかで、遊びでやる回もあって、アドリブを入れたところがウケることもありました」 赤羽「(千葉県・イオンモール幕張新都心内にある)『よしもと幕張イオンモール劇場』は、ファミリーのお客さんが多く、そこでウケたら大丈夫みたいな話もあるので、幕張でもネタは試しましたね」 ――決勝1本目でやったマジックのネタで「少し考え事をしておきます。午前中に区役所行って...」という台詞は、もともとネタに入っていなかったと聞いたことがあります。 児玉「準決勝の出番10分前のネタ合わせで『少し考え事をしておきます』という台詞を入れたら『それめっちゃいい』ってなって、本番でも入れたんですけど、まったくウケなかったんですよ。でも、ニューヨークの屋敷(裕政)と喋ったときに『あれ何なんすか?賞レースっぽくなくて、めっちゃ良かったですね』って言われて、『やっぱり芸人さんは分かってくれるんだ』って。だから決勝までに『区役所行って...』という台詞を足して本番でやりました」 ――結果的に、そのワードは審査員の小峠英二(バイきんぐ)さんからも称賛されていました。この1か月って、ネタを改良するにはいい期間なんですね。改めて、自分たちが勝ち切れた理由ってなんだと思いますか? 児玉「劇場でネタをいっぱいやったというのもありますけど、運もあります。順番が9番手で俺らっぽいのがハマったというか」 赤羽「やれることはやったんで、『あとは決勝でやるだけ』というメンタルで挑めたのも大きいですね。あのネタは劇場でいっぱいやりましたけど、決勝が一番ウケたぐらい良かったんです」 ――運やパフォーマンスの良し悪しもあるんですね。初出場組も多くいます。初出場組が気をつけるべきことは? 児玉「テンションを上げず、冷静に狙った方がいいと思います」 赤羽「僕らの同期のライスもそうだったんですけど、初出場で初優勝が一番いいんですよ。どういう人たちかバレてない状態って有利なので、そのままの勢いで行きやすいのかなと思います」 ーーサルゴリラさんのKOC優勝から1年が経とうとしています。芸歴20年で勝ち取ったKOC最年長優勝ですが、ここまで続けられた理由ってなんだと思いますか? 赤羽「僕は『楽しく』ですね。あまりギスギスしたくないんで」 児玉「そうかもしれない。ネタでやってほしいことがあるときも『あそこをこうして!』ではなくて、『あそこはこうしてみない?』、『試しにやってみない?』みたいな『提案』というかたちで伝えるようにしています」 赤羽「やっぱり、言い方って大事なんですよね~」 ――お二人は幼なじみでコンビ仲もいいと聞きます。そうしてコミュニケーションをとるうえで大事にされていることは? 赤羽「僕らは付き合いが長いのもあって、お互い『これは怒るな』みたいなラインを分かっているので、それだけはしないように気をつけています。僕は怠け癖があるけど、(児玉は)ネタの練習をやりたがるので、こいつに言われたらすぐやるとか」 児玉「俺は『諦める』ですね。お互い悪い部分はあるけど、もう今年45歳だし、絶対直らないので、あまり求めないようにしています(笑)」 赤羽「求めちゃうから怒るんですよね」 ――王者になって仕事も急増したと思います。優勝してからのこの1年間、振り返っていかがでしたか? 赤羽「激変ですね。一変しました」 児玉「確かにめっちゃ変わった。『みんな20代からこうやって働いているんだ』って思いました(笑)」 ーーこの1年で特に印象に残っているお仕事はありますか? 児玉「ゲストで出させていただいた『アッコにおまかせ!』(TBS系)ですね。和田アキ子さんと峰竜太さんは子供のときから見ていた芸能人なので、(共演するのは)現実味がないというか...本当にいらっしゃるんだみたいな。『峰竜太』って名前もめっちゃ芸能人じゃないですか」 ――(笑)。赤羽さんはいかがですか? 赤羽「僕ずっと実家に住んでいたんですけど、『ラヴィット!』(TBS系)の企画で人生初の引っ越しをさせてもらいました。でも、実家から歩いて5分なんで、『本当に1人暮らしなのか?』、『離れじゃねえか!』ってよく言われるんですよ...。大きい届け物は、全部実家に着くようにしているだけなんですけどね」 児玉「じゃあ、離れじゃん」 ――(笑)。児玉さんは生活の変化についていかがですか? 児玉「引っ越そうと思って探してはいるんですけど、いいところがあってもすぐに埋まっちゃうんですよ。だから引っ越しできていなくて...まだ家族3人で家賃8万円のところに住んでいます」 赤羽「後輩に『家賃いくらのところに住んでいるんですか?』って聞かれるけど、(児玉は)8万だから、『チャンピオンなのに夢ないっすよ!』って言われています(笑)」 ――優勝後、お会いできて嬉しかった人はいますか? 児玉「ダウンタウンさんですね。松本(人志)さんには食事にも連れて行っていただきました。『KOCどうでしたか?』と聞いたら、普段自分が出ている番組を見返さないらしいんですけど、『久しぶりにまた見たいと思ったわ』って言われて、めちゃくちゃ嬉しかったです」 赤羽「(児玉と赤羽がいた元トリオ)ジューシーズのときから、今も出囃子でスチャダラパーさんの曲を使わせていただいているんですけど、それを『ラヴィット!』で言ったら、僕らにサプライズでスタジオライブをやってくれたんですよ。しかも、話の流れで僕らの出囃子も作ってくださることになって...めちゃくちゃ嬉しかったです。他の芸人からも羨ましがられますね」 ――そんなブレイク後、「こんなはずじゃなかった!」と思ったことはありますか? 児玉「忙しくなって思ったことなんですけど、本当に俺って根性がないんだなと思いました。『休みてー』とか『ねみぃー』とか思っちゃうんですよ(笑)。もちろん仕事は嬉しいんですけどね」 赤羽「このあいだUSJでロケをしたとき、『もっと知名度を上げたい』と思ったことがありました。ユニバTシャツを着て、ハンドタオルを持って『ザ・フライング・ダイナソー』に並んでいたら、手荷物がダメだったらしく、僕のところにUSJのスタッフさんが来て『NO!NO!』って...。僕を外国の方だと間違って英語で注意されました」 ――(笑)。 赤羽「ユニバTシャツを着ている外国の方が多いらしく、僕もその一人だと思われたみたいです(笑)。『まったく知られてないんだな』と思いましたね」 ――では、優勝後に感じた「幸せだな」と思う瞬間は? 児玉「このあいだ、初めてひとり焼肉に行ったんですけど、『大人じゃん』って思いました(笑)。大阪に行ったときも一人でバーを探すとか、最近『大人』をいろいろやるようになって...そんなことをしているとき『幸せだな~』って思いますね。あと新幹線が好きで、お酒を買って景色を見ながら帰るのが最高です。研究の結果、帰りはD席がいいって分かったんですよ。A席は新幹線が横を通るので、D席の景色の方がいいんです」 赤羽「地方に行くとき、児玉がご家族を連れてくることがあるんですけど、(児玉の)娘が可愛すぎるんですよ。僕のことを『けんちゃん』と呼んでくれるから、もうキュンキュンしちゃって!だから娘に会えるのが嬉しいです。今日、たまたまUSJのお土産を持ってきていて...(おもむろに荷物からお土産を探しはじめる赤羽)」 児玉「後でいいよ(笑)」 赤羽「(お土産を渡しつつ)これとか可愛いんじゃない?」 児玉「いいじゃん。喜ぶよ。(笑顔で)ありがとう!」 取材・文・写真=浜瀬将樹
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