（写真：東奥日報社）

　青森県八戸市の水産加工会社「ヤマヨ」の預金口座から現金を横領したとして、業務上横領の罪に問われた同社元役員の被告（51）＝同市小中野7丁目＝の論告求刑公判が25日、青森地裁八戸支部（久田皓士裁判官）であった。被告は計8回追起訴され、横領した額は1億1170万円に及ぶとされた。検察側は懲役7年を求刑、弁護側は執行猶予を求めて結審した。判決は11月15日。 　論告に先立つ被告人質問で被告は、当時の代表取締役による人事や過剰な労働によって、周りに相談できる相手がいなくなり、逃げるようにギャンブルに依存してしまった－と説明した。被告の父も出廷し、被害弁償の一部を肩代わりしたことを述べた。 　ヤマヨの現・代表取締役藤田和弘氏も出廷。「社員やその家族、OB・OGは周囲から厳しい視線を向けられ、苦しく堪えがたい日々を過ごした。（被告は）言い訳をせずに事実を認め、逃げずに反省してほしい」と語った。 　検察側は論告で「犯行が長期間に及んでおり、手口も巧妙で悪質。被害によって会社の信用も傷つけられている」と指摘。弁護側はギャンブル依存に向き合っており、被害が一部弁済されている上、生涯にわたって返済をしていく意思がある－として執行猶予付きの判決を求めた。 　起訴状などによると、被告は同社で経理業務を担当していた2017年2月10日から21年1月29日の間、同社代表取締役名義の小切手で銀行から支払いを受け、247回にわたって現金計1億1170万円を横領したとされている。