個人投資家が日本株買い積極化か、「反応関数」変化-NISA効果も
(ブルームバーグ): 日本株市場で長年売り手になることの多かった個人投資家が最近は買い手となることが増えており、投資姿勢が変化している可能性がうかがえる。日経平均株価が史上最高値を更新するなど高値圏にある日本株にとって、個人の売り圧力が減れば新たな援軍となりそうだ。
新しい少額投資非課税制度(NISA)開始で積み立てによる継続的な買いが入りやすくなっている。日経平均がバブル期につけた高値を上抜けたことで、デフレ的な経済環境が終わったとの見方も広がっている。こうしたことが、姿勢の変化につながっていると見られる。
「個人の売り越しが少なくなっている。スタンスの変化が表れてきた」とBofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは語る。「株主還元が明らかに増加している。それが個人の資金を呼び込むファクターになる可能性があり、その兆候が表れ始めている」という。
個人は長年「相場が上がれば売り、下がれば買う」という逆張りスタンスに徹してきた。個人の売買動向と東証株価指数(TOPIX)の値動きを週間ベースで比べると両者の間には強い逆相関があり、関係の強さを測る決定係数は0.8前後と極めて高い水準で安定している。2023年で見るとTOPIXが週間で1%ポイント上昇した場合、平均すると個人の売りが1800億円程度増加するとの関係性が見られる。またTOPIXがほぼ横ばいだった場合は個人の売り買いもほぼ中立だ(チャート右図)。
しかし同じ比較を22日までの直近9週間のデータで行うと、少し違った姿が見える。トレンドラインは右肩下がり、つまり相場が上がれば売りが増えるという逆張りスタンス自体は変わらないが、トレンドラインの位置が過去と比べて大幅に上方にシフトしているのだ。これは以前はTOPIXがほぼ横ばいだった時は個人の買い越しもほぼゼロだったのに対し、直近では2400億-2500億円程度の買い越しになる傾向があることを意味する。角度を変えて見ると、個人が売り越しに回るのはTOPIXが1.3%程度上昇してから、とも言える(チャート左図)。