狭い家風呂と広い風呂 健康効果に違いはある?…浴槽内で起きた事故の救命率 銭湯は自宅の5倍
風呂やサウナと健康について考える「浴なび」
風呂やサウナの医学的な効用、注意点などを専門家らの談話やエピソードを交えながら紹介します。岩盤浴、足湯など、様々な温浴方法の効能についてもお伝えします。 【図解】週7回以上入浴すると、2回以下の場合と比べて3割低くなるリスクは?
大阪市東住吉区の銭湯「みどり温泉」に行ってきました。男湯と女湯の背景画が描き替えられたという記事を読んで興味を持ちました。
国内に数人とされる銭湯絵師で、現代の名工の中島盛夫さんが5月中旬、ペンキで一気に描き上げたそうです。 男湯の浴室に入ると、静岡県の駿河湾に富士山が浮かぶ絶景が迎えてくれました。体を洗ってかけ湯をし、浴槽に入ってペンキ絵を眺めていると、ゆったりとした気持ちになりました。女湯には山梨県の河口湖と富士山が描かれているとのことです。
入浴効果も家風呂とは少し違います。入浴の主な健康効果にむくみを取る「水圧作用」、筋肉や関節を緩める「浮力作用」がありますが、湯量が多く浴槽が広い銭湯ではこうした作用がより強く働くのです。 1994年に北海道大学が札幌市内の銭湯で行った研究によると、小さな浴槽に入った人の脳波は、リラックスしている時に出るアルファ波の割合が2割程度だったのに対し、大きな浴槽に入ると5割を超えることがわかりました。 「大きなお風呂に入ると気持ちいい」ことが科学的に検証されたのです。リラックス効果は、お風呂を出た後も20分は続くこともわかりました。 銭湯は地域の社交の場にもなっています。みどり温泉ではお孫さん2人と一緒に湯につかる男性や、友人同士でおしゃべりしながらやって来る女性の姿を見かけました。 安全性の高さも銭湯のメリット。厚生労働省研究班が2011~15年に起きた浴槽内事故約2300件を分析したデータによると、自宅で発生した場合の救命率5・9%に対し、銭湯では30・6%と5倍も高かったのです。人の目が多く、倒れてもすぐに119番してくれるからでしょう。 消費者庁は入浴中の事故を防ぐ方法として「一人での入浴を避けるため、公衆浴場の利用を考えるのも良いでしょう」と呼びかけています。(竹井陽平)