北部地域の歴史ひもとく、学びの森くすのきで中世と文化財展、宇部市と楠町の合併20周年企画【宇部】
宇部市と楠町の合併20周年を記念して、船木の学びの森くすのきで「宇部北部地域の中世の歴史と文化財」展が開かれている。鎌倉時代から戦国時代にかけての北部6地域の貴重な文化財や地域の歴史と文化を紹介している。入館無料。30日まで。 県と市の指定を含む文化財10点と、出土品25点の計35点を並べ、合併20周年にふさわしい内容になっている。 文化財は、南北朝時代に厚東棚井を中心に活躍した厚東氏関連、八幡宮の由緒を絵と文章で記した八幡縁起絵巻、寺社の軒先に掛けられる鰐口(わにぐち)の三つをテーマに取り上げている。 厚東氏が創建した東隆寺が所蔵する絵画「普応中興大建禅師画像」「厚東武実画像」「南嶺和尚画像」や、小野の横瀬八幡宮、厚東の恒石八幡宮、万倉の宮尾八幡宮がそれぞれ所蔵する八幡縁起絵巻などは、筆致を間近で見ることができ、迫力がある。 出土品は、荒滝山城跡、小野平原遺跡、棚井上遺跡の3カ所を中心に北部地域で見つかった中世の品々を展示している。食事に使用した土師(はじ)器、すり鉢、赤間石の硯(すずり)などが並んでおり、当時の生活を垣間見ることができる。エントランスでは棯小野遺跡から発掘された高さ3・8㌢のかわいらしい「犬型土製品」が来場者を出迎えている。 石川健副館長は「指定文化財になっているため、そろっての展示が難しい品々が一堂に会している。貴重な機会なので、ぜひ多くの人に見に来てほしい」、出土品担当学芸員の縄田冨貴枝さんは「中世の人々の暮らしが分かるような道具を展示しているので、幅広い世代の人に興味を持ってもらえたら」と語った。 期間中に絵巻の場面替えや展示替えも予定している。