「まこも織り」広がれ 特産品活用、帽子やマット 潮来の元教員・長谷川さん 茨城
茨城県潮来市の元教員、長谷川幸子さん(88)が市特産のマコモを使い、帽子やマット、草履などを制作する「まこも織り」の普及に力を入れている。長谷川さんはもともと、古い浴衣や洋服などの布を専用機器で細かく裂き、卓上型の織り機を使って新たな実用品によみがえらせる「裂き織り」が専門だったが、マコモのPRと伝統文化の継承を狙いに、今年に入って本格的に「まこも織り」を始めた。 マコモは、草丈が1.5~2メートルにも成長するイネ科の水生多年草。潮来市内では昭和30年代前半まで野生のマコモが川などに群生し、水郷潮来の原風景となっていた。1998年には第1回の「全国まこもサミット」を開催するなど市民になじみ深い植物だった。 葉の株元にある「マコモダケ」は炒め物や煮物など食用として利用され、細長い葉は織物や肥料として使われるケースもあるが、基本的には廃棄されることが多い。まこも織りは長谷川さんの母親が50年ほど前まで作っていたムシロの作り方を参考にした。 新芽の時期(7~11月)に採取したマコモの若葉を熱湯処理して柔らかくした後、2ミリ程度に細かく裂き、葉と糸を織り機で丁寧に編み込んでいく。長谷川さんが主幹を務める「幸(みゆき)織りの会」のメンバーを中心に、平織りから縫製まで手作業で行い、今年は12月中旬ごろまで制作する予定だ。 津軽河岸あと広場・石の蔵(同市潮来)を拠点に作品を手がける長谷川さんは「年月を経ても葉の色あせが目立たないように緑色の糸を使うなど工夫を重ねている」。将来的には、道の駅いたこ(同市前川)に併設されている建物内で、市民や観光客らにマコモのPRをしていきたいと意欲を見せる。
茨城新聞社