国公立大で拡大する推薦入試 定員増や女子枠設置も
推薦入試で問われるのは、「深掘り・言語化力」
推薦入試での受験を検討するにあたっては、「目を引く活動をしているかどうかが評価対象になる」と考える人が多いのではないでしょうか。 「部活やコンテストなどで優秀な成績を残していないと合格できないのではないか」「留学など特別な体験をしないと難しいのでは?」と心配されるお子さまや保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。 しかし、実際の推薦入試で問われるのは、経験や成果そのものではなく、活動の動機やプロセスです。 大学側は、「なぜその活動をしたいと思ったか」「その活動をするなかで、どんな気付きや学びがあったか」を深掘りして考え、自分の言葉で語れるかどうかを評価します。 積極的にいろいろなチャレンジを重ねることは大切ですが、「活動するプロセスの中で何を考えたか」を、メモするなどの形で言葉として残しておくことはさらに重要だといえるでしょう。 これらのプロセスを経て創られた志望理由のことを、ベネッセでは「マイ・ストーリー」と言っています。 納得度の高い「マイ・ストーリー」を語れることは、推薦入試において大きなポイントとなります。
まとめ & 実践 TIPS
推薦入試が変化していくなかで、保護者のかたの役割はますます大きくなっています。 たとえば、日々の勉強や部活などで忙しいお子さまに代わって情報収集をしてあげれば、進路の可能性を広げる一助になるでしょう。 また、保護者からの問いかけによって、お子さまが学問や大学・学部に対する興味を深めていけることも多々あります。 お子さまが「この大学では、こんな推薦入試があるんだ」「〇〇学部になんとなく興味があるんだけど」と口にしたら、さらに対話を続けてみるとよいでしょう。 この積み重ねが、推薦入試での大きな評価ポイントになる「興味を深掘りし、言語化する力」を身に付けるきっかけになるはずです。
プロフィール 谷本 祐一郎(たにもと ゆういちろう) ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長 1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。 九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。2021年度より島根県総合教育審議会委員を担当。