シニア世代の社会再参加「人生二毛作」 地域に根付くか
リタイアしたシニアが再び社会参加する「人生二毛作社会」。これを推進する取り組みが長野県で行われています。長野市で開かれた事例発表会では、取り組みの成果や課題などが論議されました。体の不自由な人の旅行に同行して支援したり、子どもカフェ(食堂)への参加、子守のボランティアなど試みは多彩で成果がある半面、地域社会の関心度や資金面などで課題も。高齢者の就労や社会参加は国の年金政策などとも絡んで検討されており、地域に根付くかどうか注目されています。 【写真】生涯労働は幸せ? 「高齢者は75歳から」提言は、社会保障見直しの根拠にも
高齢者の「御柱を見たい」を実現
「人生二毛作社会」の施策は、長野県が2013(平成25)年に策定した総合5か年計画で採用、県民会議を設けるとともに公益財団法人「長野県長寿社会開発センター」に3人の推進コーディネーターを配置。国などの補助金も活用しながら地域の“二毛作活動”の立ち上げをモデル事業などとして支援しています。 長野市で2日に行われた事例発表会では、高齢者の学習機関「長野県シニア大学」の受講者で二毛作活動に参加している県民や、県内市町村、社会福祉協議会、労働団体、一般企業などから60人が参加。旅行支援、地域の高齢者のサロンづくりなど5つの試みを発表し、検討しました。
いずれのケースもシニアが地域のボランティア活動に参加することや就労の機会を得ること、孤独から抜け出して人間関係を広げることなどがテーマ。長野県諏訪地域では体の不自由な高齢者や障害者が旅を楽しむことができる「ユニバーサルツーリズム」にシニアが支援者として同行した例を紹介。介護が必要な80代のお年寄りに付き添って「温泉に入り、ウナギを食べ、御柱(おんばしら=数えで7年に1度行われる諏訪地方伝統の祭り)のにぎわいを見たい」という願いをいずれも実現できた、と報告しました。 このときはお年寄りが乗った車いすを前方で1人が人力車のように引き、後ろからもう1人が押して、屋外にある階段など多くのバリアを克服。「車いすを1人が前で引くととても楽だという発見があった」と報告していました。