近内(福島県田村高出身)が日本新V 国スポ重量挙げ成年男子67キロ級 引退の花道飾る
国民スポーツ大会(国スポ)「SAGA2024」は第2日の6日、佐賀県有田町の焱の博記念堂で重量挙げ成年男子67キロ級を行った。福島県三春町出身の近内三孝(28)=ビッグワンアスリート、田村高出身=はスナッチ145キロ、ジャーク173キロ、トータル318キロでいずれも1位となり優勝した。スナッチ、トータルは日本新、ジャークは大会新。今大会の県勢優勝第1号となった。東京五輪7位の実力者は今夏のパリ五輪を逃し、引退を決めて国スポに臨んだ。2つの日本記録で有終の美を飾り、「100点のでき。最後まで挑戦する姿勢を貫けた」と感慨に浸った。 ジャークで重りを高々と挙げ、力強く雄たけびを上げた。2019(令和元)年の茨城国体73キロ級以来の完全優勝だ。両脚の痛みもあり、セコンドの支えなしで歩けない。トータル318キロは5年前に自身が樹立した日本記録を1キロ上回った。2位に25キロ差をつける圧勝だった。万全の状態にはほど遠いものの、表情に達成感をにじませてプラットホームを後にした。
パリ五輪では東京五輪に出た67キロ級がなく、73キロ級で切符を目指した。増量に苦しみ、世界ランキングを上げられずに連続出場は絶たれた。第一線での戦いに区切りをつけ、4月以降は国スポに照準を合わせた。 スナッチで1回目に132キロ、2回目に140キロを挙げてトップに。3回目で自らが2019年に出した143キロを塗り替える145キロに成功。最高の滑り出しが一転、ジャークの準備中に両太ももの筋肉をつった。激痛で立つことさえやっとだったが、強靱(きょうじん)な精神力で2回目に156キロ、3回目に173キロを挙げた。 15歳だった田村高1年で競技を始め、数々の記録を残して五輪にも出場した。進路はまだ定まらないが、成長させてくれた競技に関わり続けたいと願う。「後進に自分の経験を伝えたい」と意欲を見せた。