「クレージュ」のニコラス・デ・フェリーチェがミニマルに表現する「ゴルチエ」の世界【2024-25年秋冬オートクチュール詳報】
また、デ・フェリーチェにとってゴルチエは「映画を作るかのようにコレクションを手掛けるストーリーテラー」だという。「今回コレクションを制作する上で、まずナラティブ(文脈)が必要だと感じた。そこで考えたのは、クイアを含むさまざまな人にとって、ゴルチエがどんな存在かということ。彼は“パリに来ればきっと受け入れてもらえるから、なりたい自分でいられる”というメッセージを発信し、ファッションを通してたくさんの人の道を開いてきた先駆者だ」。そんな心が次第に解放されていくようなストーリーを、ヴェール付きのアイウエアや高い襟で顔を隠した匿名性の高いスタイルから始め、徐々に服が脱げたり生地が透けたりして肌や内側が見えてくるという構成で描いた。
2024-25年秋冬オートクチュール・ファッション・ウイークが6月24日から4日間、パリで開催された。今季の公式スケジュールに名を連ねたのは、27ブランド。「ヴァレンティノ(VALENTINO)」と「フェンディ(FENDI)」が発表を見送り、いつもよりも控えめなラインアップとなったが、その中から選りすぐりのコレクションをリポートする。