全面新設計のロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」 旧車的で牧歌的な資質は維持しているのか?
“らしさ”は維持しているものの……
「意外に“ヒマラヤ成分”が残っているんだな……」2代目ののヒマラヤでいろいろな場面を走った私は、そんな印象を抱きました。と言っても初代と比較すれば、エンジンは格段に力強くなり、車体は明らかにカッチリ感と安定感が増していて、その気になれば峠道やオフロードでは初代を簡単に置き去りにできそうです。
とはいえ、低中回転域を使ってマッタリ走行をしたときの牧歌的で穏やかなフィーリングに、私は他のアドベンチャーツアラーとは一線を画する“ヒマラヤらしさ”を感じました。 もっとも、40~60km/hが心地良かった初代と比較すると、2代目は気持ち良い速度域が10~20km/hほど上がっています。その事実にどんな印象を抱くかは人それぞれですが、日本より速度レンジが高い海外市場、中でも欧州の状況を考えると、2代目の特性は正解でしょう。 ちなみに、速度レンジが上がった2代目に対する私の当初の印象は、可もなく不可もなく……と言うより、可もあって不可もある? だったのですが、高速道路では2代目に軍配を上げたくなりました。何と言っても、初代の巡航速度の上限が(気持ち的には)100km/h前後だったのに対して、2代目は120km/が余裕で、条件的に許されるなら130~140km/hで巡航できそうなのですから。
その事実を認識した私は、2代目には初代以上に行動範囲を広げる資質が備わっている、と感じました。 そんなわけで2代目「ヒマラヤ」に好感を抱いた私ですが、速さを重視しないライダーの場合は“初代のほうが好み”と言う可能性がありそうです。かく言う私自身も、“ここまでの進化は本当に必要だったのだろうか”と思わなくはありません。 ただし世界的な視点で見れば、おそらくそういう意見は少数派で、“ヒマラヤらしさ”を維持しながら、現代的な動力性能を獲得した2代目は、初代以上に多くのライダーから支持を集めるような気がします。
中村友彦