【記者の目】松本人志「週刊文春」裁判は約11カ月で幕 渡邊センスの裁判など未決着の案件も
<記者の目> ダウンタウン松本人志(61)が「週刊文春」に性的行為強要疑惑を報じられ、名誉毀損(きそん)されたとして発行元の文藝春秋らに5億5000万円の損害賠償などを求めていた訴訟が終結した。8日、所属する吉本興業らが発表した。 ◇ ◇ ◇ 2~3年はかかるとされた松本人志と「週刊文春」の裁判は約11カ月で幕を閉じた。双方に決着をつけたい思いはあった一方、ここでの終結が長期化のデメリットも考えた上での落としどころになった。 訴訟当時は両者共に「和解はない」と強く口にしていた。しかし、番組出演も多く、コンテンツプロデュースやコンビで25年大阪・関西万博アンバサダーにも名を連ねていた松本の活動休止は吉本にとって頭の痛い問題。報道を正したい松本の思いもくみつつ、早期復帰へ向けた交渉を続けていた。 結局、開かれなかったが、文春側は第2回弁論準備へ向けて約20項目の証拠を提出していた。女性への取材内容や松本らとのやりとり、酒席にいた放送作家への取材データなど多様で、ここまでの報道にあまり出ていなかった同席タレントについてなども触れられていた。裁判が進めば当時の出来事がさらにつまびらかになり、「FRIDAY」の関連記事で訴訟を起こした渡邊センスや松本と同じく活動休止したスピードワゴン小沢一敬ら以外にも影響が及ぶ可能性は高かった。 文春側も裁判が続けば取材にあたった記者はもちろん、記事内で被害を訴えた「A子」「B子」らが法廷で証言台に立っていたかもしれない。長期化するほど世間を巻き込みながら裁判の様相がより複雑化し、心理的、体力的な消耗もあることが今回の合意へ導いた一因であることは想像に難くない。渡邊の裁判や小沢の動向など未決着の案件は残されており、ひとつの区切りを迎えた中でどのような展開となるか、引き続き注視が必要だと感じている。【松尾幸之介】