民主党は再生できるか? キー・パーソンは福山政調会長 ── 中北浩爾(政治学者)
政権から転落し、フリーズ状態に陥っていた民主党は、ようやく主体的に動き出す条件を整えてきています。二番底が来るかもしれませんが、さしあたり最悪期は脱しつつあるとみてよいでしょう。 もちろん、民主党の前途が厳しいことは変わりません。政権への復帰は、おそらく夢のまた夢です。当面の目標は、56という衆議院の現有議席を三ケタに戻し、二大政党の一角として再び認知されることでしょうが、このまま総選挙に突入した場合、その目標の達成も困難でしょう。他の野党といかにして選挙協力を進めていくのか。また、どのように党内の政策的な一致を図りつつ、独自性を発揮していくのか。取り組むべき課題は山積しています。 キー・パーソンは、政調会長のポストに就いた福山哲郎氏でしょう。他の野党と選挙協力を行うにせよ、来たる総選挙に向けて政策を立て直すことが緊急の課題だからです。これまでマニフェストとして積み上げてきた政策のうち、政権担当の経験と反省を踏まえて、修正すべきは変え、維持すべきは残し、そこに新規の政策を付け加え、訴求力ある目標へとまとめ上げ、党内でしっかりと共有する。そうした地道な努力の上に、有権者の信頼を回復していかなければなりません。新たな執行部の手腕が注目されます。 ---------- 中北浩爾(なかきた・こうじ) 一橋大学教授。近著に『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書)、『自民党政治の変容』(NHKブックス)。『民主党政権 失敗の検証』(中公新書)で「マニフェスト」の章を担当するなど、民主党についても詳しい。