【独自検証②】「紅麹」同業者が指摘「カビ混入なら気づくはず」 小林製薬“未知の成分”のナゾに迫る 共同研究者「問題は製造過程のどこかにあるはず」
小林製薬の「紅麹」を含むサプリメントを摂取した人に健康被害が相次いでいる問題で、健康被害の原因となった可能性があるとして発表されているのが青カビから生成される「プベルル酸」です。「紅麹」を製造している小林製薬とは別の“同業者”や専門家への取材から、健康被害が出た背景に“ある可能性”が見えてきました。(読売テレビ「紅麹」問題取材班) 【独自検証①】小林製薬「紅麹」サプリから『プベルル酸に近い成分』検出…“未知の成分”のナゾに迫る 専門家「ほとんどの青カビはプベルル酸を作らない」
■食品の着色料などに使用される「紅麹」 中にはカビ毒を含むものも存在
そもそも「紅麹」とは、米などの穀類に紅麹菌を繁殖させてつくられるもので、古くから日本や中国、台湾、韓国などで食品の着色料などとして使用されてきました。 紅麹の成分にはコレステロールを低下させる作用があるとされていて、機能性表示食品を含む数多くの健康食品などが出ていました。一方、一般に紅麹菌の中にはカビ毒である「シトリニン」をつくるものもあり、これは腎臓の病気を引き起こすおそれがあるとされています。 ヨーロッパでは紅麹菌由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EUでは「シトリニン」について、サプリメントに含まれる基準値を設定しています。10年前には、内閣府の食品安全委員会も注意喚起を行っていました。
■小林製薬と「紅麹」の共同研究者「紅麹菌に問題はなく、問題は製造工程のどこかにあるはず」
ただ、小林製薬の紅麹菌はこの「シトリニン」を生成しないことがゲノム解析の結果でわかっています。共同研究を行った奈良先端科学技術大学院大学の金谷重彦教授は問題発覚の当初から、紅麹菌自体が問題ではないと強調していました。 奈良先端科学技術大学院大学 金谷重彦教授「小林製薬の紅麹菌は遺伝子レベルでシトリニンを作ることができないということですから、検出されなかったというのは当然のことだと思います。紅麹菌自体には問題はなく、あくまで問題は製造工程のどこかにあるのかにあるはずだ」 金谷教授は、去年9月以降の製品に健康被害が偏っていることなどから、製造の過程でタンク内に外から別の菌が誤って混入し、その菌が増殖したために、人体に影響を与えている可能性があるとの見方を示しました。