昭和的、完全出社で急成長。「リモートでは勝てない」30代COO語る組織論
出社勤務に回帰すべきか、リモートワークやハイブリッドワークを維持すべきか……。アメリカのビッグテックをはじめ出社回帰の流れが加速している中、悩ましい選択を突きつけられている企業も多い。 【全画像をみる】昭和的、完全出社で急成長。「リモートでは勝てない」30代COO語る組織論 そんな中、「スタートアップが生き残る上で、とにかくカルチャーが大事。企業文化は戦略に勝る」として、週5出社前提で業界内で勢力を急拡大しているベンチャー企業がある。 EV用の充電サービスを提供する、テラチャージだ。 テラチャージは2022年に充電インフラ事業への参入を表明すると、初年度こそ設置数は約50基にとどまったものの、3年目にあたる2024年度には累計1万5000基に達する見通し。事業としては投資フェーズで黒字化はまだ先ではあるものの、収益基盤のインフラ設置の「面の拡大」で大きくリードし、業界のトップランナーの1社へと成長を遂げている。 テラチャージのCOOを務める中川耕輔さん(32)は働き方にも多様なあり方を求める若手世代でありながら、「スタートアップが勝つため、やり切るためには、そこまでやらないと行動量が生まれない」と週5完全出社の現状を語る。その意図を聞いた。
成長の鍵は経営者との「シンクロ率」
「週5出社で勤務時間は昔ながらの9時~18時。かなり昭和的な働き方だと思います。昭和のことは知らないんですが(笑)」 中川さんは、テラチャージの働き方を「昭和的」だと自ら語る。 一方で、「万人ウケはしないかもしれませんが」と前置きした上で、 「世の中には本気で仕事をやりたいのにやりきれない人たちは一定数いると思うんです。そういう方たちからすると、すごい刺さる会社だと思う」 とテラチャージの独特なカルチャーを説明する。 少数精鋭で始まるスタートアップ企業において、事業成長は経営者や創業メンバー(経営幹部)の突破力に依存するところが大きい。ただ、事業が成長し、従業員が増えて組織化していくにつれて、その突破力や熱量の「濃度」はどうしても薄まってしまうものだ。 「(従業員に対して)経営者から一つのことを伝えたときに、10の情報が入るような会社になることがスタートアップが成長するためには極めて大事だと思っています。これをやるには、やっぱり一緒に仕事をしないと。『シンクロ率』が低いのは課題だと思っているんです」 カルチャーは戦略に勝る。 スタートアップがスピード感を持って成長するためには、従業員一人ひとりが経営者と同じレベルの熱量や意識を持つことが理想だと、中川さんは指摘する。週5出社は、そういったカルチャーを醸成する手法の一つになっているというのだ。