ECBの規制監督で銀行の不満再燃、レバレッジド融資の調査が引き金
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)の規制監督を巡り、ここにきて再び銀行からの批判が強まっている。
特に米金融当局の監督体制と比較して、過度に官僚的かつ現実的でないとの不満が出ている。ECBに対しては2年前にも、ドイツ銀行やソシエテ・ジェネラルなどの経営陣が行き過ぎた干渉だとしていら立ちをあらわにするなど、同様の批判が上がっていた。
その後、ECBが一定の改革を実施したことに加え、ユーロ圏外で昨年、複数の金融機関が経営破綻に追い込まれたことで監督強化を求める機運が高まり、銀行業界の批判はいったん沈静化していた。だが、 ECBの単一監督メカニズム(SSM)銀行監督委員長に新たに就任したクラウディア・ブッフ氏は自身が言うところの「立ち入った」監督アプローチを続けており、業界関係者の批判が強まっている。
ECB銀行監督委の新トップ、台頭するリスクへの対応計画を呼び掛け
ここにきて銀行幹部が不満を強める原因となっているのが、レバレッジドファイナンスに関するECBの融資調査だ。この問題に詳しい関係者によると、複数の銀行が通常のフィードバックの機会を利用して、監督当局の調査方法に関して書簡で苦情を申し立てた。銀行が反発するのはよくあることだが、銀行の不満は調査結果だけでなく、ECBのアプローチにも向けられている。情報は部外秘だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。
銀行から寄せられた不満の1つは、銀行の動向に精通していない外部のコンサルタントやECBスタッフが調査の大部分を行っているという点だった。その結果、各行がどのように業務に携わっているかよく理解していないとの印象を与えた、と関係者は述べている。また貸出先の企業が債務返済を続けているにもかかわらず、一部の債権について債務不履行に近い、あるいは債務不履行に陥っていると判断したことにも批判が上がったという。
ECBの報道官は声明で「欧州の監督は銀行の安全性と健全性の維持に寄与している」と指摘。ECBは「新型コロナウイルス禍、ウクライナでの戦争、金利環境の変化、2023年に発生した銀行の混乱といった一連の外的ショックに迅速に対応し、決断力と機敏さを示した」と述べた。