定年退職を機に息子の「扶養」に入りたいです。「扶養に入るための条件」はなんですか? メリット・デメリットも教えてください
定年退職後、子の扶養に入れないか考えたことがあるかもしれません。扶養とは、自分の収入で生計を立てられない人を家族等が支えることです。家族を扶養している人や扶養されている人は、税金や社会保険の優遇が受けられます。 扶養に入るための条件、親を扶養に入れた場合、子どもにどのようなメリットやデメリットがあるのか解説します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
税法上の扶養親族の条件
納税者である子どもに所得税法上の控除対象扶養親族となる親がいる場合には、扶養する子どもは一定の金額の所得控除が受けられ、所得税・住民税の節税ができます。 控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により決まります。たとえば、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の方の控除額は、同居の場合は58万円(住民税45万円)、同居以外は48万円(住民税38万円)です。70歳未満の親の控除額は38万円(住民税は33万円)です。 たとえば、所得税率20%の子どもが70歳以上の同居している親を扶養する場合の節税額を計算してみましょう。 所得控除額は58万円なので、節税額は58万円×20%=11万6000円です。また、住民税に関しても、控除額45万円×10%=4万5000円の節税ができます。 扶養親族となる条件は、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいいます。 (1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること (2) 納税者と生計を一にしていること* (3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること 給与のみの場合は給与収入が103万円以下、年金収入のみなら65歳未満は108万円以下、65歳以上なら158万円以下であれば扶養控除を利用できます。 (4) 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと 親に事業の手伝いなどをしてもらう場合は気を付けてください。 (出典:国税庁「No.1180 扶養控除」) *「生計を一にしていること」 同居の場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。別居の場合は、余暇には起居をともにすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。銀行振込の控えなどを保存しておきましょう。