大阪でいなか暮らしフェア 子育て世代の相談増加傾向に
大阪でいなか暮らしフェア 子育て世代の相談増加傾向に 撮影:岡村雅之
地方への移住を希望する人たちと移住受け入れに取り組む自治体などとの出会いの場を提供する「おいでや! いなか暮らしフェア」が29日、大阪市中央区のOMMビルで開かれ、若い家族連れらでにぎわった。従来の移住相談会ではシニア層の来場者が多かったが、徐々に子育て世代が増えてきた。「豊かな自然の中で子どもを育てたい」との思いが強いからだ。 「田舎暮らし」の断片(1)── 移住民が新たに価値を見出した「薪ストーブ」
思い出深い新婚旅行先で新たな人生を
大阪ふるさと暮らし情報センターが主催する関西最大級の移住・定住イベントで、出展したのは153ブースの約200地域。北海道から沖縄までの自治体や関係団体が出展した。昨年よりブースの数を絞り込んだうえ、開始時間を早めて来場者と出展者がじっくり交流できる態勢で開催された。従来の移住相談会ではシニア層の来場者が多かったが、徐々に子育て世代の若い家族連れが増えてきた。 1歳男児を伴って、富山県の各自治体のブースを回っていた大阪市在住の30代夫婦は、候補地を富山県に限定して移住を計画しているという。「新婚旅行で訪れた富山県でいい思い出ができた。素晴らしい自然にほれこんで富山で暮らすことを決めました」と話す夫の傍らで、妻も笑顔でうなづく。 課題は新しい仕事探し。夫はスマートフォン関連の金属加工の技術者だ。「富山はものづくりが盛んなので、私の技術を生かせる職場が見つかればありがたい。一方で、同じ金属加工でも、富山の歴史ある伝統工芸の分野へ挑戦してみるのもいいかなとも思っています」と、新旧ものづくり2段構えで進路を見据える。移住時期は決めていないが、準備が整えば引っ越すとのこと。男児の顔を見つめながら「この子も富山県民になります」と、楽しそうに話していた。
「生まれたこの子のためにいなかへ」
ベビーカーで生まれたばかりの長男がすやすや眠る。「この子のためにいなかへ移住します。豊かな自然の中ですくすくと育ってほしい」と断言するのは、20代男性。妻と3人で会場を訪れた。 オフィスワーカーなので、おそらく転職することになるが、転職後も働きやすい環境がいい。「いなか暮らし志望とはいえ、山奥の村などは少しつらい。ある程度にぎわいのある地方都市で、新幹線などの交通アクセスが整備されているところがいい」 できれば、いなかの安らぎと都会の便利さを両立させたい。妻の出身地である長野か、関西周辺の地方都市の中から候補地を決め、「来年中をめどに、移住に踏み切りたい」と意気込む。ベビーカーを押しながら会場内を移動すると、あちこちの自治体から声をかけられ、そのつど真剣に耳を傾けていた。