今年の新卒に「2年目になるから月収2万円上げてほしいです」と言われましたが、2年目で月収27万円は高すぎないですか?
新規学卒者に「入社2年目になるから、月収を2万円上げた27万円にしてほしい」と言われた場合、その金額が適正なのかを即座に判断することは難しいでしょう。入社2年目で月収27万円を希望するということは、現在の月収である25万円は平均よりも少ないのではないか、ということになるかもしれません。 本記事では、新卒の平均月収をはじめ、賃金の改定や定期昇給の実施状況、賃金の改定額などについて解説します。
新卒の平均月収
東京労働局「令和5年3月 新規学校卒業者の求人初任給調査結果」によると、高等学校・短大(高等専門学校を含む)・大学・専修学校の新規卒業者の求人初任給賃金は、表1のとおりです。 【表1】
※東京労働局「学卒者の初任賃金(令和5年3月 新規学校卒業者の求人初任給調査結果)」より筆者作成 そのうち、求人初任給賃金がもっとも高かったのは、大学卒業者で「金融業保険業」の 23万円です。新卒時の月収が25万円ならば、同調査による金額を大きく上回ることになります。さらに2年目には、月収を2万円上げて月収27万円にもなれば、高すぎると解釈してもなんら違和感はないでしょう。
賃金の改定の実施状況
厚生労働省の「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和5年中における賃金の改定の実施状況は、表2のとおりです。 【表2】
※厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 第1表 企業規模・産業、賃金の改定の実施状況・実施時期別企業割合」より筆者作成 ■定期昇給制度、ベースアップなどの実施状況の割合 厚生労働省の同調査によると、令和5年中に賃金の改定を実施した、または実施する予定がある企業と、賃金の改定を実施しない企業の中で、定期昇給制度のある企業は、一般職が83.4%、管理職が77.7%です。定期昇給制度のある企業のうち、実際に定期昇給を実施したかどうかは、表3のとおりです。 【表3】
※厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 第3表 企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給制度の有無、 定期昇給の実施状況別企業割合」より筆者作成 管理職と比べて一般職のほうが、定期昇給を実施した割合は高いです。また企業規模や産業によっても、定期昇給の実施状況は異なります。企業規模が5000人以上、1000~4999人、300~999人、100~299人に分類されているうち、定期昇給を実施する割合がもっとも高いのは300~999人規模で、一般職は87.9%(管理職が77.7%)でした。 産業別で見ると、定期昇給を実施する割合がもっとも高いのは、一般職では電気・ガス・熱供給・水道業の96.2%、管理職で不動産業・物品賃貸業の84.1%です。 ■賃金の改定額及び改定率 同調査によると、実際の1人平均賃金の改定額は9437円、改定率は3.2%のようです。 1人平均賃金の改定額と改定率を企業規模で見ると、もっとも高いのは5000人以上、1000~4999人、300~999人、100~299人のうち、5000人の1万2394円で、改定率は4.0%、次に1000~4999人の9676円で、改定率は3.1%でした。 産業別で見ると、1人平均賃金の改定額と改定率がもっとも高いのは、鉱業、採石業、砂利採取業の1万8507円で、改定率は5.2%、次に情報通信業の1万5402円で、改定率は4.5%です