鼻にスプレーするインフルエンザワクチン、効果や注意点は? 避けるべきケースは?
鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンの接種が、今秋から始まった。対象は2~18歳の子ども。痛くないため、親世代を中心に注目を集めている。ただ、生きたウイルスを弱毒化した「生ワクチン」のため、接種を避けるべきケースや注意点もある。 【写真】フルミストの接種を始めた森美喜夫院長 「フルミスト」と呼ばれる経鼻ワクチン。従来の注射タイプはウイルスの感染力をなくした「不活化ワクチン」なのに対し、フルミストは生ワクチンで左右の鼻の穴に0・1ミリリットルずつ直接噴霧する。
注射と同程度の効果
日本小児科学会によると、従来の不活化ワクチンの注射と同程度の効果があるという。注射の場合、12歳以下は間隔を空けて2回の接種が基本だが、フルミストは1回で済む。効果の持続性でみると、約1年といわれ、注射よりも長いと期待されているという。 もり小児科(広島市南区)では11月上旬からフルミストの接種を始めた。ただ、供給量が少なく、1日5人分設けた枠がすぐ埋まる状況が続いているという。小学生の娘2人がフルミストの接種を受けた南区の看護師女性(47)は「感染症がはやっている中、接種が1回で済むのは助かる」と話していた。 森美喜夫院長は「注射が怖かったり注射した部分が腫れたりする人にとっては安心して受けられる」とメリットを話す。早く免疫を付けたい人には1回で済むフルミストが適しているという。接種費用は医療機関ごとに異なるが、従来の注射は1回2500円~4千円、フルミストが7千~9千円ほどが一般的だ。
妊娠中の人や免疫不全の患者に注意
一方、副反応として接種後数日は鼻水や鼻づまり、せきなどが報告されている。生ワクチンのため、軽いインフルエンザの症状が出る人もいる。妊娠中の人や免疫不全の患者、ぜんそくの持病がある人は、従来の不活化ワクチンが推奨される。ウイルスを周囲にうつす可能性があるため、家族や身近に免疫不全の患者や妊婦がいる場合も接種には注意が必要だ。 米国では約20年前から使われている。効果が疑問視されて中断していた時期もあったが、現在は再び推奨されている。 広島県内では今月、インフルエンザの流行期に入った。例年1、2月ごろにピークを迎えることが多いため、接種する場合は年内に終えておきたい。ただ、すでに予約受付を終了している医療機関も少なくない。森院長は「ワクチンを接種しても発症する可能性はある。予防策としてできるだけ人混みを避け、規則正しい生活で自然免疫を高く保つことも心掛けてほしい」と話している。
中国新聞社