おばあちゃんになって、美容に目覚めた。自分の“好き”を大切にする姿に共感! 『はなものがたり』【書評】
“人生100年時代”ともいわれる現代では、定年後、新たなことに取り組んだり、趣味を見つけたりすることは決して珍しいことではない。第2の人生を謳歌することは人との繋がりを保ち、健康維持や生きがいにも繋がってくるのではないだろうか。『はなものがたり』(schwinn/KADOKAWA)では“美容”に目覚めた主人公が好きなことに向き合う姿や、人々と交流を重ねる様子が描かれている。 【漫画】本編を読む
長年共に過ごしてきた夫を亡くしたはな代は、化粧品専門店で働く堂島芳子と出会い、美容の楽しさに目覚める。亡き夫の言葉から自分の気持ちに蓋をしていたはな代だったが、芳子との出会いを機に「オシャレ」や「香水作り」とさまざまなことに挑戦したり、彼女との関わりを通じ今後の生き方について考えていく……というストーリーだ。 物語のメインは、今まで別の人生を歩んできたふたりの交流ではないだろうか。はな代は結婚し子供をもうけ、夫と生涯共に過ごすという彼女の世代では“当たり前”の人生を送っている。それに対し芳子は独り身であり、現在も現役で働いていたりとまるで正反対だ。“化粧”という共通点から距離を縮めていく彼女たちの様子や、多種多様な価値観の人たちと関わることにより徐々に視野を広げていくはな代の姿は見ていて元気がもらえるはずだ。 また「自分が楽しいのが一番」とはな代に声をかけるシーンや、年をとっても可愛い色の服を買ってしまうと話すお客さんに対し「我慢する義理なんてない」と答えるところは、芳子の“好きなもの”を大切にするという姿勢は、年齢を理由に諦めてしまいがちな私たちの背中を押してくれる。この先、はな代は新たな人生をどのように歩んでいくのか。やりたいことにトライする姿をぜひ見届けていただきたい。 文=ネゴト / 渡辺美咲