「現金1割還元セール」が人気博した地場信販エヌシーガイドショップは、グレーゾーン金利の過払い金返還で経営暗転 競合増加や決済手段の多様化追い打ち 更生法申請へ 他方、識者は「よく持ちこたえていた」と評価する
2008年から私的整理による経営再建中だった信販会社エヌシーガイドショップ(鹿児島市、田中信一郎社長)が、近く会社更生法の適用を東京地裁へ申請することが18日、分かった。グレーゾーン金利の無効化で発生した過払い金返還が長期化し経営を圧迫した。 【写真】会社更生法の申請を検討するエヌシーガイドショップの本社ビル=12日、鹿児島市東千石町
金融機関の支援を受け経営が持ち直した時期もあったが、返還額の負担を上回るほどの改善は見込めず、決済手段の多様化による会員獲得競争の激化も追い打ちをかけた。 同社は1952年設立。県内唯一の地場信販会社として、現金1割還元セールなど特色のあるサービスで会員を増やした。98年の取扱高は過去最高の397億円。ピーク時の会員数は20万8000人、加盟店数は4000店に上った。 順調な経営が暗礁に乗り上げたのは2006年。最高裁がグレーゾーン金利を認めない判断を示した。利用者からの過払い金請求が相次ぎ、不動産処分や店舗の統廃合で乗り切ろうとしたが、08年3月期には39億6000万円の赤字を計上。同年11月、金融機関主導の「私的整理に関するガイドライン」での再建を始めた。 カードのショッピング利用や不動産運用の収益で補填(ほてん)しながら、これまで約1万3000人に約68億円を返還した。ただ未請求は現時点で約9000人。同社によると、過払い金には年5%の利息が発生し、一人当たりの返還金額は年々膨らむ。
カード会社の増加に加え、QRコード決済など決済手段の多様化も再建を鈍らせた。各社ポイント還元に取り組むなど競争も激化。苦戦を強いられるようになった。 ショッピング、キャッシング利用とも減少し、22年3月期決算からは毎年赤字を計上。24年同期は純資産も1億8770万円のマイナスで債務超過に陥った。今月15日からは、別会社への事業譲渡を見据え、来年2月末までカードの新規発行と再発行を停止した。 法改正以降、消費者金融大手の倒産や合併が進んだ。東京情報大学の堂下浩教授(60)=金融論=によると、14年ごろには地方の信販会社の撤退が相次いだという。「一気に業界が縮小した中、ここまでよく持ちこたえたと思う」と驚く。 事業譲渡により、会員や加盟店などへの影響はないとされているものの、譲渡後の貸し付け条件変更があるかを注視する。「これまでの顧客が借り入れできなくなると、ヤミ金などに流れる可能性がある。場合によっては利用者に対して、行政の支援が必要になるだろう」と話した。
■グレーゾーン金利 利息制限法の上限金利(年15~20%)と、出資法の上限金利(年29.2%)の間の金利を指す。消費者金融などによる無担保個人向け融資に適用されていた。多重債務問題の是正や消費者保護を背景に、最高裁が2006年1月、同金利を事実上無効とする判断を示したのをきっかけに借り手からの返還請求が急増。同年12月に貸金業法、10年6月には出資法が改正され、グレーゾーン金利は廃止となった。
南日本新聞 | 鹿児島
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