「母乳に近づく」が原点 9月1日森永乳業が創業100周年
「森永ホモ牛乳」「ピノ」……100年の間には商品の変遷も
瓶入りの森永牛乳の登場は1929年でした。1952年からは、宅配や学校給食で長く愛された「森永ホモ牛乳」が売り出されています。なぜホモ牛乳と名づけたのでしょうか。 「均質化という意味のホモジナイズドが名前の由来です。今は、市販牛乳のほとんどで導入されていますが、大きな脂肪の粒が上に浮いてきたりしないよう、脂肪の粒をそろえる技術は当時業界初でした」(同)。 森永ホモ牛乳には、太陽をモチーフにしたキャラクターが描かれていましたが、その名は「ホモちゃん」。今は、森永ホモ牛乳の販売は終わり、「おいしい牛乳」など森永牛乳のラインナップから姿を消しましたが、1995年から販売されている白いカップの「森永牛乳プリン」にホモちゃんは使われています。 一口に100年といっても、ほかにもさまざまな商品変遷が。ロングセラー商品も変化がないわけではありません。例えば、近年PARMに首位を奪われるまで、同社のアイス売り上げトップだった一口サイズの「ピノ」も、1976年の発売開始から約40年の間、「微妙に味を変えてきた」といいます。「わずかな変化を見逃さないヘビーユーザーは違いに気づいて、連絡してきますよ」(同)。
7月から米国西海岸でアロエヨーグルト販売スタート 新たな挑戦も
同社によると「牛乳消費量はダウントレンドから横ばいに。ヨーグルトやチーズ、アイスなどの乳製品市場は少子高齢化でも伸びている」(同)と、国内市場は堅調です。しかし、ことし7月、海外展開で新しい挑戦をスタートしました。 同社は牛乳で培った無菌包装の技術を応用した無菌充てん技術で、1985年から長期保存が可能なロングライフ製法の豆腐を米国で販売。「TOFU」の海外普及に一役買っています。そして、同社初の国外ヨーグルト販売事業として、アロエ葉肉入りヨーグルトを今年7月、米国西海岸で売り出しました。
森永乳業ではミュージアムを造るといった大掛かりな予定はありませんが、「これからの新たな100年を担う若手社員を全社的に集め、今まで『乳で培った技術』で『笑顔あふれる豊かな社会作り貢献』を掲げた、理念体系の見直しを行った」(同)こと、百年史作りなどが、今までのところの主な取り組みで、9月1日からは感謝を伝える消費者向け広告を展開し、周知を図っていきます。 社内理念の再構築で、伝統のバトンタッチを地道に進めつつ、フルーツヨーグルト市場が活況な米国で、アロエヨーグルトブームを狙う……。老舗企業に仲間入りした森永乳業の新たな100年が始まります。