「剣を通じた成長を」剣道場・微神堂170周年 渡辺昇ら剣士を輩出 長崎・大村
江戸時代末期に誕生し、数々の剣士を育ててきた長崎県大村市杭出津2丁目の剣道場「微神堂」は今年、創建170周年を迎えた。記念の演武大会が9日、道場であり、関係者が伝統の継承へ誓いを新たにした。 道場は1854(嘉永7)年、大村藩主の居城、玖島城下の上小路に創建。江戸三大道場の一つとされた「練兵館」から神道無念流の剣豪、斎藤歓之助を招き、渡辺昇や柴江運八郎といった剣士を輩出した。1918(大正7)年に現在地へ移築。建物は修繕を重ね、現在も使われている。 今回制作した記念誌によると、幕末に兵制改革を進めた藩主・大村純熈(すみひろ)が斎藤を招き、実践的で猛烈な稽古が徹底された。練兵館では長州藩の桂小五郎や高杉晋作らが修練しており、大村藩士は剣を通じて結び付きを強めたという。 演武大会では神道無念流の居合のほか、稽古や奉納試合が行われた。参加した門下生らは子どもから大人まで日頃の鍛錬の成果を発揮し、気迫のこもった剣さばきを見せた。亡くなった道場関係者の慰霊祭もあった。 創建170年記念事業の上松大八郎会長は「子どもたちも非常に元気で一生懸命だった。伝統を継承し、剣を通じた成長を目的に今後も続けていきたい」と話した。