なぜ過酷?メダルが期待される卓球の東京五輪日本代表選考レースの現状を考察してみた
加えて、今年からワールドツアーランキングの上位選手は新トーナメントのT2ダイヤモンド(全3戦)でボーナスポイントを稼ぐチャンスができ、7月に開かれた第1戦マレーシア大会では当時、世界ランキング22位(現在26位)の加藤美優(日本ペイントホールディングス)が4位に入って600ポイントを稼いだ。このことから世界ランキング17位の佐藤瞳や20位の芝田沙季(ともにミキハウス)がワールドツアーで好成績を残した場合の追い上げもまた侮れない。 そしてもうひとつ、石川、伊藤、平野にとって気がかりなのはダブルス巧者、早田ひな(日本生命)の存在だろう。東京五輪では団体戦の試合方式が変わり、リオ五輪までシングルス2本の後にダブルス1本、それで勝敗が決まらなければシングルスを最大2本行っていた が、最初にダブルスが組み込まれた。そのため試合全体の流れを作るダブルスがより重要視されることに。実際、世界選手権団体戦やチームワールドカップなどですでにこの新方式が採用されており、1本目のダブルスが大きな鍵を握る傾向にあることがわかっている。 そんな中、ダブルスで好成績を残している早田の名前は常に代表候補に挙がっている。ご存知、伊藤と早田の「みまひな」ペアは4月の世界選手権ブタペスト大会でも女子ダブルス銀メダルを獲得するなど、目下、女子ダブルスの世界ランキングで1位に君臨。ただ早田のシングルスの世界ランキングが34位というのが物足りない。もし、代表選考レース後半で早田が盛り返してきた場合には石川と平野の脅威になるだろう。いずれにせよ石川、伊藤、平野のトップ3は、是が非でも日本人の上位2人までに入り個人戦の2枠を射止めようと躍起だ。 男子はどうか。ニューカマーの張本智和(木下グループ)と、リオ五輪の代表メンバーだった丹羽孝希(スヴェンソン)、水谷隼(木下グループ)の3選手が他を大きく引き離す。中でも抜けているのはブルガリア・オープンで今季初優勝を飾った世界ランキング5位で日本人最上位の張本(13345ポイント)だ。 2018年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルで強敵の中国人選手を倒して優勝するなど、わずか16歳にしてエースの実力を備えている。これにリオ2016五輪男子団体銀メダルの丹羽が10位(11200ポイント)、団体戦に加え個人銅メダルにも輝いた水谷が14位(10195ポイント)につけており、続く43位の吉村和弘(東京アート)、48位の吉村真晴(名古屋ダイハツ)に大差をつけている。