門脇麦、初出演をはたした台湾映画の現場を振り返る。中国語のセリフは<丸暗記>も「不安はありませんでした」。その理由とは
◆身にまとうもので役に入り込めた また門脇さんからは「私には稀に、撮影場所の空気や着ている衣装、メイクで役を掴めた、と感じる瞬間があります。今回の現場はまさにそれ。着飾っていて裕福なのに、どこか孤独な女性、というのが自分にとって”キー”になりました。『こんな人がいたんだろうな』っていう人が、実際に目の前の鏡に映っていた」と身にまとうもので役に入り込めたという経験も。 門脇さんの演技を間近で見たシャオ監督からは「印象的だったのは彼女のコントロール力」という感想が。 「言葉がわからないからこそ、セリフを丸暗記してくれて。それがどのくらい芝居に影響をおよぼすか心配だったけど、無駄だった。やっぱり彼女のコントロール力あってのものだと思うので、そういう意味では成功したな、と思っています」とほほ笑みました。 役作りの一歩として、役の設定を詳細に書いた手紙を送ったことも明かし、「麦さんは本当によくやってくれた」と、期待に応えた門脇さんをあらためて称賛しました。
◆まなざしの輝きが堪能できる映画 作品の内容にかけ、自身の11歳だった頃を回顧してもらうと、門脇さんは 「いろんなことを考えていたと思います。いま思えば”哲学的”ですが、『人生は何が大切か』『なんのために生まれてきたのか』とか、そういったこと」 「漠然とした疑問を言語化したくて、偉人の名言が書かれた書籍を読み漁っていた反面、『早く授業終わらないかな、鬼ごっこしたいな』とも思っていましたね(笑)」 などと照れながら告白。 哲学的思考はお父さんの影響もあるようで、 「物心がついたときから『なんのために生まれてきたのか』と考えていた。アンパンマンの歌詞にもありますよね? 父からも『楽しく自由に生きたらいいよ』などと幼稚園の頃から言われ続けてきたので、絶対にその影響はあると思います」 と話しました。 舞台挨拶の最後、門脇さんは「まなざしの輝きが堪能できる映画です。たとえば監督は一人ひとりの役に対して深く掘り下げているのですが、それが単純に『悪い人、良い人』ではないという、温かくて広くて深いまなざし。 それに救われる人もいると思います。実際、私はすごく救われました。日本の映画館で見られるのは貴重な機会なので、多くの方に見てほしいです」とあらためて呼びかけました。 (撮影=田中景子)
「婦人公論.jp」編集部