企業におけるAI開発・利用のボトルネック解消へ、データベースの移行を取り払うプラットフォームが登場
機械学習専門家ではなくデータベース専門家が扱えるAI開発プラットフォーム
データベースとAIを連携させるこの分野ではSuperDuperDBのほかにも、MindsDBやPostgresMLなどの競合プラットフォームが存在する。 MindsDBもSuperDuperDBと同様に、任意のデータソースと機械学習モデルやフレームワークを連携させ、AIアプリケーション開発を容易にするプラットフォームを提供している。 MindsDBは「AI-Tables」と呼ばれる仕組みを特徴とする。このAI-Tablesは、機械学習モデルを仮想テーブルとして抽象化し、データベースのようにテーブル化したもの。一見テーブルのように見えるが、背後で機械学習モデルが動作する仕組みで、SQLの知識があれば、専門的な機械学習の知識がなくても、機械学習モデルをデータベース操作と同じように扱うことが可能となる。 一方PostgresMLは、オープンソースのリレーショナルデータベースであるPostgreSQLの拡張として機能するAI開発プラットフォームを提供。同プラットフォームもデータベース内で直接、シンプルかつ高速でスケーラブルなAIアプリケーション構築を可能とする。 SuperDuperDB、MindsDB、PostgresMLはともにデータベースとAIモデルを連携させるプラットフォームという点では同じだが、プラットフォーム上における操作言語は若干異なる。SuperDuperDBはPythonベースであり、MindsDBとPostgresMLはSQLベースである点だ。 Pythonは一般的に、AIおよびデータサイエンスで広く使われている言語。機械学習やデータ処理に関する豊富なライブラリが揃っており、開発の柔軟性はSQLベースに比べて高くなることが期待される。一方SQLベースのプラットフォームの場合、柔軟性はPythonベースのプラットフォームに劣るものの、機械学習の専門家を有していない企業でもAI開発を進めることができるなどアクセス面で強みを持つ。 特に生成AIに関しては今後2~3年かけて企業における活用が急増すると予想されている。これらのプラットフォームがどのように活用されていくのかが注目される。
文:細谷元(Livit)