「大谷翔平に続きたい」慢性腎臓病を患った“7歳の慶大野球部員” 人生を変えた野球との出会いと新たな夢
本番まで1カ月 チームメートからのメッセージ
リハーサル後、チームメートが「本番もこんな感じで」と声をかけると「オッケー」と答え、自信をのぞかせる弦祐くん。その姿からは他人との交流が少なかった少年の面影が、すっかり薄れていた。 最後に本間颯太朗主将から「始球式ではいい球が投げられる力が絶対にあると思うので、本番では自分を信じて、勇気を持って腕を振って下さい」とエールを送られると、弦祐くんは「キャッチャーまで届けたいです」と大きな声で意気込みを語った。 グラウンドのスコアボードに表示された「げんゆうくん がんばれ!!」のメッセージに背中を押され、この日は練習グラウンドを後にした。
10カ月の集大成と新たな夢
迎えた始球式の本番当日。両親に手を引かれて球場入りする弦祐くん。大舞台を前に「ちょっと緊張している」と率直な心境を口にしながらも「みんなを笑顔にさせるボールを投げたい」と気合は十分だ。 優勝が懸かる大一番に集結した2万8000人が見守る中、いざマウンドに上がった弦祐くんは、選手たちとグータッチを交わすと挨拶も欠かさない。 バッターボックスに向かって2度頭を下げると、全身を目いっぱいに使って渾身の一球を投じた。 惜しくもボールはバッターの背中側に落ちてしまったが、小さな体が見せた全力投球に、満員の神宮球場は笑顔に包まれた。 始球式を終え、大満足の表情を見せる弦祐くん。「(自分的には)130点」と語ると、母・有紀さんは涙をこらえながらこの10カ月を振り返った。 母・有紀さん: 最初は10mくらいしか届かなくて、マウンドの端っこからも無理かなと思っていたんですけど、最後まで諦めないで (部員の)皆さんも「大丈夫、いける」というところまで練習に付き合っていただいて、最後まで諦めないでよかったです。 そして、大役を終えた弦祐くんが語ったのは、新たな夢だった。 弦祐くん: 大谷翔平に続きたいです。あと、リニア新幹線よりも速く投げたい。 山形新幹線にとどまらず、リニア新幹線をも上回るスピードの球を投げることを夢見て、弦祐くんの挑戦は続く。
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