ラインを読む大久保さん

大久保嘉人のゴルフ場巡り～2ndステージ❹ 　サッカー元日本代表の大久保嘉人さん（42）が九州のゴルフ場を巡る企画は、今回から熊本が舞台となる。まずは熊本県西原村の「グランドチャンピオンゴルフクラブ」を訪問。熊本は、数多くのプロゴルファーを輩出している。ここまで大活躍中の若手女子ゴルファーも、この場所で腕を磨いてきたという。（松田達也） 【動画】大久保さんのプレーダイジェスト 　難しい状況を見事に打破した。大久保さんの技術が発揮されたのは3番ショート（186ヤード）だ。ティーショットはやや短かったが、グリーン左の残り50ヤードもない距離で、つま先下がりのラフからアプローチ。打球はカップに吸い寄せられるようにピンそば2メートルにつき、鮮やかにパーを奪った。 　「ちょっと睡眠不足なんだけどね…」。ラウンドの直前、大久保さんは苦笑いしていた。前夜に大阪でテレビ番組の取材を終え、朝の飛行機で熊本入りして、そのままスタートするというハードスケジュールだった。熊本空港から車で約20分というアクセスの良さのおかげでスムーズに始められたが、心配なのは大久保さんの体調だ。それでもクラブを握ればスイッチをONにして、本来の力を発揮してみせた。 　グランドチャンピオンGCは「難しい＝（イコール）面白い」という独特のコースだ。志勇輝（しゆう・あきら）支配人は「グラチャンは難しい、というイメージがあるかもしれませんね。挑戦するコースと言われることが多いです。プレーする方のレベルにもよりますが、ここで100切りなら自信になるという方もいます」と紹介してくれた。例えば左ドッグレッグの4番ミドル（399ヤード）は、ドライバーを握らないという選択肢もある。 　国内最大級のゴルフ関連ポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン（GDO）」の協力で行う今回の企画では、初めて熊本を訪れた。福岡や佐賀のようなJ1クラブが熊本にはなかったこともあり、近年は訪れる機会があまりなかったという。「国見（高校）の時は、よく試合で来たよ。大津や熊本国府とかね」。そんな思い出話をしていると、徐々に本来の安定感を取り戻していった。 　グランドチャンピオンGCでは、熊本県出身の上田桃子、有村智恵らのトッププロも練習に訪れる機会が多かったという。同県合志市出身で、今季のツアー初優勝を含む4勝を挙げた21歳の竹田麗央も同様で、志勇支配人は「小学生の頃は、ここで腕を磨いていました」と振り返る。 　名ゴルファーを育んだ地で、日本サッカー界の歴史に名を刻む大久保さんも足跡をしるした。