2024大統領選で劣勢バイデンに最後の一撃か、イスラエル支援にイスラム票が離反、蜜月に終止符
民主党政権はイスラム教徒への配慮を示してきたが…
再選を目指すバイデン大統領のもとに、衝撃的な世論調査結果が飛び込んできた。4月28日~5月9日実施のニューヨーク・タイムズ紙/シエナ大学の調査によれば、激戦6州のうち、アラブ系とイスラム教徒の58%が、共和党大統領候補のトランプ支持と回答していたのだ。 【写真】米大統領選の最大の争点・不法移民問題 世論調査結果が出る約1カ月前の4月2日、ホワイトハウスはイスラム教のイフタール、断食明けの晩餐会を開催した。しかし、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続き、パレスチナ自治区ガザへの攻撃が広範囲に及ぶなか、バイデン大統領の対応を理由に一部参加者が抗議し、規模は縮小されたという。 もともと、ホワイトハウスでの晩餐会は1805年に第3代大統領、トーマス・ジェファーソンが初めて開始したとされる。その後は見送られたが、クリントン政権が1996年に再開。オバマ政権での晩餐会は「ホワイトハウスの中をまるでベドウィン部落のテント内のようなインテリアでしつらえ、歓待していた」(ワシントン筋)との逸話もある。トランプ氏が大統領に就任した2017年に中断し、コロナ禍を理由にバイデン政権も休止を余儀なくされたが、2022年からは恒例行事として開かれている。 民主党といえばマイノリティを支持基盤としているだけに、イスラム教徒も同党を長年支持してきたかというと、その蜜月関係は意外に浅い。米・イスラム関係評議会(CAIR)は2000年の米大統領選について、イスラム教徒の70%以上が共和党のジョージ・W・ブッシュ(子)候補に投票したと推計していた。しかし、2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を契機に、転換点を迎える。2002年1月の一般教書演説では、イスラム教徒の多数の支持を受け当選したブッシュ(子)政権が、イラクやイラン、北朝鮮を「悪の枢軸」として列挙した。核や化学兵器を始めとする大量破壊兵器の保有をもくろむ「テロ支援国家」として名指しし、2003年3月にはイラク戦争が勃発した。 ブッシュ(子)政権下でイスラム教徒へのヘイトクライムが急増するなど「イスラム恐怖症」が広がるなか、イスラム教徒の票は民主党へ向かった。ピュー・リサーチ・センターが2017年に調査した結果でも、イスラム教徒の66%が民主党支持あるいは民主党寄りと回答。2020年米大統領選の出口調査によれば、イスラム教徒の64%が民主党のバイデン候補に投票し、トランプ氏は35%にとどまった。