「クマに襲われる」が自分ごとになった“山の家暮らし”のライターが、準備万端で揃えたクマ対策グッズ全容とは
こうして続いていく、僕のデュアルライフ
とはいえ、これらのクマ対策、現時点ではほとんど不要です。 12月上旬である現在、標高1000メートルに位置する寒冷地の山中湖村は、いよいよ冬本番という雰囲気。 もうすでにツキノワグマは、冬ごもりに入ったはずなのです。 対策グッズは、子連れグマになってより危険性が増す、来春までは温存しておこうと思います。 間もなく、山中湖村へ行く道も、峠のカーブなどを中心に朝晩は凍結することが多くなります。 車のタイヤをスタッドレスに履き替えなければならないので、僕はある平日の夜、一人で山の家に向かいました。 交換用のタイヤは、山の家の倉庫に置いてあるのです。 夜更けに到着した山の家の中はかなり冷えていました。 でも、今年の初めに新しく設置した薪ストーブは、家の中を柔らかな暖かさで満たしてくれて、快適に眠ることができました。 翌朝早く。 条件が揃えば日の出の時刻に出現する、朝日の光が雪の積もった富士山の白い斜面を紅色に染める現象“紅富士”を見るため、キンキンに冷えた空気の中、外に出ました。 もしかしたら冬ごもりしそびれたクマが出るかもしれないので、ラジオ、ホイッスル、おもちゃのピストルの3点セットは、もちろん携行しています。 あいにくその日は雲が多く、紅富士は見られませんでしたが、朝日と交代して徐々に輝きを失いつつある朝の満月の前で、かっこよくポーズをとるカラスの写真を撮ることができました。 こんなふうに、僕のデュアルライフは続いています。 写真・文/佐藤誠二朗