発達障害と決めつけていませんか? 子どもの「困った」に隠れた本当の理由
集団活動に参加できない。じっとしていられない。思うようにならないとかんしゃくを起こす。このような姿を「この子は発達障害かもしれない……」と結びつけていませんか? しかし、子どもの気になる行動にはさまざまな理由や背景があります。 本稿では、子どもの気になる行動をどう多角的に捉えるかを、保育士・臨床発達心理士・特別支援教育士の高橋雅江さんが解説します。 ※本稿は発達支援の保育専門誌『PriPriパレット 2024年 2・3月号』(世界文化ワンダーグループ)から一部抜粋・編集したものです。
ケース1:すぐに苛立つのはなぜ?
友だちがあそんでいるおもちゃを使いたい5歳のAくん。 先生に別のおもちゃをすすめられましたが、納得できなかったようで突き返し、放り投げました。
【これが理由?】睡眠不足による情緒不安定
睡眠が十分に取れていないと、苛立ちやすくなります。夜遅く寝て朝起きられず、朝食をとれないとおなかがすき、イライラして手が出る子もいます。 この場合は、睡眠記録を取ることをおすすめします。「布団に入った時間」「就寝時間」「起床時間」「夜間の目覚め」を約2週間記録してみてください。 “眠くなってから布団に入る”を心がけ、布団に入ってすぐに寝つく習慣をつくること、就寝時間が遅くなっても起床時間は変えないことがポイントです。睡眠リズムが整い、しっかり眠れるようになってくるでしょう。
【これが理由?】家庭環境によるストレス
下の子の誕生や引っ越し、家族の不和などによるストレスで怒りのスイッチが入りやすくなることも。年齢不相応なことばやいじわるはストレスを受けた場面を再現している可能性もあります。 家庭と園で連携し、子どものストレスを和らげる方法を一緒に考えていくことが大切です。
【これが理由?】思い通りにならない結果に混乱
過去の自分の経験から予測したことと違う結果になると、驚きなどから不安になることがあります。気持ちが混乱し、思わずカッとなってしまいます。 「これを使いたかったんだよね」「貸してほしかったね」と気持ちを代弁したり、「悔しかったね」と気持ちに寄り添ったりします。理解してもらえたことで安心し、落ち着きます。