香港株式市場、中国景気の改善期待などから「小幅上昇」 ~アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、中国を中心に2024年3月のアジア・マーケットを振り返ります。
アジア:マーケット動向
⇒【株式】概ね上昇、【通貨】概ね下落、【債券】まちまち 【株式市場】 ◆概ね上昇 台湾は人工知能(AI)関連市場の成長期待を背景に半導体関連企業や電子機器受託生産企業が上昇を牽引。韓国は堅調な半導体メモリ価格などを背景に大手電子機器・電気製品メーカーの株価が上昇。オーストラリアはオーストラリア準備銀行が政策金利を据え置いたものの、インフレを警戒するスタンスが緩んだことなどが好感され、ベトナムは資本市場改革が進展するとの期待感が高まった。香港は米中関係悪化懸念が高まったものの、中国景気の改善期待などから小幅に上昇。一方、マレーシアは金融や通信関連企業の株価が軟調だったほか、インドネシアは2月の貿易収支が縮小したことなどが嫌気され、消費者物価指数(CPI)が市場の事前予想を上回ったフィリピンも小幅に下落した。 【通貨(対米ドル)】 ◆概ね下落 米ドルが3月上旬以降、上昇基調にあったため、多くのアジア通貨は米ドルに対して下落した。政治リスクが高まりつつあるタイバーツが最も下落した。マレーシアリンギなど資源関連通貨は米ドルに対して上昇したが小幅にとどまった。 【債券(国債)市場】 ◆まちまち 国債利回りはオーストラリア等で低下、このうち、中国、タイ、インドでは23年11月以降緩やかな金利低下傾向が続いている。一方で、ベトナムは金利反転の動きとなっており、また台湾ではインフレ抑制重視により1年ぶりに利上げが実施され、金利上昇につながった。 <※参照:各国の株価指数の名称> ●中国:上海/深圳CSI300指数、●香港:ハンセン指数、●韓国:韓国総合株価指数、●台湾:台湾加権指数、●インドネシア:ジャカルタ総合指数、●マレーシア:クアラルンプール総合指数、●タイ:SET指数、●ベトナム:ベトナムVN指数、●シンガポール:シンガポールST指数、●フィリピン:フィリピン総合指数、●インド:SENSEX指数、●オーストラリア:ASX200指数
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