荏原製作所、南関町に「CMP装置」の新生産棟完成 生産能力1・5倍に TSMC第2工場にも納入へ
荏原製作所(東京)が南関町の熊本事業所に建設していた新棟が完成し、19日、現地で竣工[しゅんこう]式があった。半導体の製造工程でシリコンウエハーを磨く「CMP装置」の生産能力を1・5倍に増強し、生成人工知能(AI)や自動運転向けの需要に対応する。 TSMC関連ニュース
新棟は2001年と16年に稼働した既存の2棟に続く3棟目。鉄骨造4階建て、延べ床面積1万9400平方メートル。25年4~6月から稼働する。投資額は非公表。 熊本事業所では現在、関連業者も含め千人程度が働いている。新たに数百人規模の雇用を予定している。 荏原製作所のCMP装置は、菊陽町に進出した台湾積体電路製造(TSMC)の台湾工場で使われているという。25年1~3月に建設が始まる予定の熊本の第2工場にも納入する見込み。 荏原製作所の浅見正男社長は「世界の半導体市場は現時点で約80兆円とされるが、30年には約150兆円規模になると予測されている。増大する需要に適切に対応したい」と述べた。(伴哲司) 「需要は増える」「必要な投資やっていく」 荏原製作所(東京)の浅見正男社長と、半導体事業を担当する南部勇雄執行役は、熊本でのさらなる投資に意欲を示した。主なやりとりは次の通り。(山本文子)
-生産を増強する「CMP装置」の需要見通しは。 南部氏「半導体市場は急成長しており、(生成AIやデータセンター向けなどで)半導体自体の高性能化も進んでいる。性能を高めるには、半導体チップを積み重ねる『積層』が必要で、土台(ウエハー)を平らにしなければならない。CMP装置はそれを実現するのに欠かせない。需要は増えていくだろう」 -熊本事業所でさらなる設備投資の可能性は。 浅見氏「工場棟は三つまでかなと思ってきたが、増産を検討する余地はある。生産効率向上は欠かせず、必要な投資をやっていきたい」 -熊本事業所の位置付けは。 浅見氏「神奈川県の事業所で開発した装置を熊本で造っており、当社ではCMP装置の国内唯一の量産拠点。熊本事業所が半導体産業の土台を支えており、今後も安定的に生産していく」