「ニセコ駅周辺」に広がっていた“意外な光景”。日本屈指のインバウンド観光地も、実態は「かなり限られた区画だけ」だった
「英語だけの看板」や「コンビニで売られているシャンパン」
駅前には健康ランドのような温泉施設があり、飲食店などが点在している。インバウンド観光客の姿もそこまで見当たらない。実際、ニセコリゾートの有名なスキー場まではここから数キロ離れており、利用する人は少ないのだろう。 そこから車で、スキー場が集まる羊蹄山のふもとを目指す。近づくにつれて目に入るのは、英語オンリーの看板だ。ニセコ駅周辺ではまだ日英併記だったのが、ここでは英語だけになっている。そんな看板からも、この区域が他とは違う場所になってきたことがわかる。 私はまずニセコひらふ地区に到着した。やはり看板は英語が多く、通りすぎる人はほとんどが外国人。唯一、どこか日本らしさを感じるのは、北海道のローカルコンビニであるセイコーマートだろうか。試しに中に入ってみる。 そこで驚いたのは、11,000円のシャンパンが売っていることだ。もともとセイコーマートは通常店でもワインの取り扱いが多い。しかし、ここまで高い商品が置いてあることは、まずない。しかも10,000円を超すシャンパンは数種類あるから、やはりここを訪れた外国人の需要があるのだろう。
“コピペしたような”一戸建てが並ぶ、異様な街並み
また、道路上にはブランドショップなども増えてきて、日本の普通のリゾート地とは異なった景色を見せている。 車を進める。そこで気付くのは、まるでコピーアンドペーストしたかのような一戸建ての建築群。どうやらこれらは外国人向けの貸別荘のようであるが、日本の建物とは異なる雰囲気を漂わせており、どこかSFっぽささえある。 ニセコではこうした集合住宅型の別荘であるコンドミニアムが盛んに作られており、私が現地を見た限りでも多くのコンドミニアムが建設中であった。特にニセコの場合、普段はホテルとして貸し出し、必要に応じて所有者もそこを使う「ホテルコンドミニアム」も盛んで、外国人富裕層からの投資が盛んだという。
「インバウンド観光地」は限られた区画だけ?
また、エリアの各地に英語で書かれた「売地」の看板が目立つのも特徴だろう。北海道だけにエリアの土地は広く、まだまだ開発されていない場所は多い。そして、それらの売買の対象は外国人、というわけだ。 車を走らせながら気付くのは、いわゆるメディアで言われるような「インバウンド観光地」のような場所は、かなり限られた区画だけ、ということ。それ以外は、少し走れば普通の日本の田舎の風景が広がっている。いわば、局所的に「日本でないような場所」が生まれている感じだ。まさに、北海道の中に、テーマパークが突如として出現しているといえるかもしれない。 テーマパークはあるエリアを区切って、そこで別世界を作る。「内」と「外」を強く意識させる場所だ。日本人がここまでニセコに対して興味を持ち、「日本人が相手にされていない」と嘆くのは、ニセコが持つテーマパークっぽさ、にも要因があるのかもしれない。