GX投資を呼び込め 北海道の可能性は
今回のけいナビの特集は、脱炭素化と経済成長の両立を目指すグリーントランスフォーメーション、GXがテーマ。太陽光、風力といった再生可能エネルギーの先進地である北海道が、GXによってどのように変わろうとしているのかを考える。 北海道と札幌市は6月、政府から金融・資産運用特区に指定された。この特区指定を追い風に、活発なGX投資を呼び込もうというのが最近の大きな動きで、道と市は今後、40兆円規模の投資呼び込みを目指すとしている。 投資を呼び込むために市が立ち上げたのが、グリーントランスフォーメーション推進室だ。去年の発足段階では3人だけだったが、ことし4月に組織を大幅に拡充。40人態勢となった。 推進室が今、力を入れて取り組んでいるのは、GX関連の投資をする企業への税制優遇措置の検討と、投資を呼び込むための金融機能を強化だ。横川宗幸事業担当課長は、「世界の金融都市のような機能を札幌にも集積したい」と力を入れる。
秋元克広市長は、「再生可能エネルギーでつくった電気を各地に供給し、その上で余剰電力を売電できるようになれば道内経済の活性化につながる」とし、そのために必要な多額の資金を投資によって呼び込む考えを示している。 市が現在、もうひとつ力を入れているのが、水素の利用拡大だ。市内中心部に大型のバスやトラックにも対応できる水素ステーションを建設中。来年度から稼働するという。 市内には普通車向けの水素ステーションは既にあるが、大型車向けは完成すると道内初となる。施設を建設し運営するのは産業ガス大手のエア・ウォーターで約10億円を投じた。市は、このステーションをきっかけに市民の水素への関心を高め、水素自動車の普及につなげたい考えで、必要に応じて市内の別の場所にもステーションを整備する方針だ。 GX関連投資が今後増えることを見据え、道外大手企業が札幌に拠点を開設する動きも出てきている。海運業国内最大手の日本郵船は4月、北海道支店を開設した。